2012年2月11日(土)

西新宿の寿司アカデミーは大盛況

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 世界に通用する寿司職人養成所として、西新宿に「寿司アカデミー」という料理学校があるとテレビで紹介していました。2か月の短期コースで84万円。1年の長期コースで151万円。講習料は高いのですが、寿司作りを学ぶ生徒で盛況だと言うのです。

 短期の2か月コースは、とにかく寿司を握れるようにするコースで、東日本大震災前は生徒の半分が外国人だったそうです。1年コースだと寿司屋で数年かかる技を1年で学べるコースです。シンガポールの最高級和食店では、食事付で36万円のコースもあるということで、寿司職人や和食職人に対する需要は年々強くなっています。

 寿司アカデミーでは伝統的寿司技術だけではなく、チーズを使った巻き寿司や、カリフォルニアロールの巻き寿司など、海外でも人気のメニューも教えています。例えばブラジルでは、バナナ、パパイア、マンゴー、ラズベリーを使ったデザート感覚の巻き寿司が人気。日本の寿司文化を押し付けるだけでなく、地元の味の好みに合わせた柔軟な寿司テクニックを教えています。また寿司の技術だけでなく、ロールプレーイングで外国人とのカウンター越しの英語のやり取りも教えてくれます。かなり実践的です。

 生徒の中心は学校を卒業したてというよりは、海外で寿司職人になりたい20代の青年が中心だそうです。閉塞感の漂う日本にしがみ付いているよりは、一丁外国で旗を上げてやるという前向きな青年たちなのでしょう。北欧のスウェーデンでも寿司が人気で、ここの学校を出た寿司職人には最初月額15万円で雇うオファーが出ており、その後能力次第で賃金も上げてくれるとのこと。

 京都に「私の仕事館」という仕事、技術を学べる施設を厚生労働省が2003年に開業しました。建設費だけで400億円、土地代を入れれば550億円。それがたった7年の営業で閉館してしまい、現在は誰も買い手が付かず野晒し状態。この壮大な無駄金を使ってしまった厚生労働省も、少しは寿司アカデミーを見習った方が良さそうです。また県庁、市役所も公共事業頼みでの行政ではなく、地元の若者に寿司アカデミーのような本当に仕事が身に付く仕組みを作ってあげて、海外で活躍できる人材を数多く作り出してもらえればと願っています。

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