2012年9月20日(木)

苔玉作りは面白い!苔玉で地域活性化

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

9月上旬に行った高知県本山町ツアーで、色々な農業体験ツアーをさせて頂きました。

・本山町自慢の棚田で稲作を行い、本山町のブランド米「天空の郷」を生産している高井さんから、棚田での生産の苦労と、食味アップの秘策を聞く。減農薬にして、ミネラルが多く入るように、海洋深層水を数回に分けて撒く。

・土佐あかうし生産者の秋山さんのところで、土佐あかうしの説明を伺う。その後お母さん牛(繁殖牛)に乾燥草の餌やりを行う。

・蕎麦打ち体験。出来上がったのは、きしめんのような太く短い蕎麦。もう1グループは、米粉を使ったピッツァをレンガの釜戸で焼いて食べる。

・生姜生産者川村さん、松葉さんのところで、生姜畑を見学して生姜酢漬けを頂く。

・原木しいたけを育てている大久保さん、畠山さんのしいたけ作りに掛ける意気込みと苦労話しを聞く。

・みのもんたの朝ズバにも出たことがあると言う元気なお婆ちゃん沢田さんから、こんにゃく玉作りを指導してもらい、夜の宴会でこんにゃくの刺身を頂く。

その中でも一番印象に残ったのが、本山町役場まちづくり推進課大西さんの指導で作った「苔玉作り」です。苔玉とはシダ類、りんどう、雪の下などの野草を丸めた土に埋め込み、丸めた土の回りを苔で覆い玉状にした、盆栽のような作品です。

苔玉に植える草花を何にするか、まずここでセンスが問われます。草花による高低差。花が咲く種類かどうか。同じ緑色でも微妙に異なる葉っぱの色、そして葉の形。組合せは全く自由ですので、出来上がる作品には芸術的センスが全て現れます。

私が作った苔玉はセンスの欠片も無い無骨そのもの。それでも大西先生にちょこちょこっと、特徴のある草をアクセントで入れて直してもらうと、なかなか見栄えのする苔玉に仕上がりました。

土は養分をしっかり持った、湖底の土を使います。苔はネットの図鑑で見ると「はいごけ」のようです。苔を丸める時には、黒い絹糸でぐるぐる50回くらい糸で巻いて完成。大西さんから「後は表面の苔が乾かないように、毎日霧吹きで水を掛けて下さい。丁寧に育てれば、2年間くらいは枯れないで持ちます。」私の造った苔玉の出来映えは、センスのある方に比べるとちょっと落ちますが、それでも手を泥だらけにして作った苔玉には愛着が湧いてきます。

現在、我が家では私が作った2作品と、かみさんが作った2作品がバルコニーに鎮座しています。これを毎朝見ていると、非常に可愛くなります。また苔玉を作る機会があれば是非作りたいし、旨く作れるようになったなら、自分が作った苔玉を他の人にも分けて上げたいと思っています。

ネットで苔玉をヒットしてみると、「苔玉作りキット3000円で販売」とか出てきます。なるほど、苔玉作りの魅力にハマって苔玉作りキットを買い求める人もいるのか。東京駅の丸の内ビル2階の青山フラワーマーケットが入っていますが、先日覗いたら、苔玉が1玉2000円で売っていました。結構、ファンがいるのでしょう。

それならば、本山町は苔玉作りをブームにして、苔と土と野草をキットにして販売すれば、地域の有力な産業になるのでは。日本の人口の1%が苔玉にハマり、一人が1年で5000円使えば50億円産業となる。この売上の数パーセントでも、もし取れれば...。

ではブームをどう仕掛けるか。本山町は涙が出るほど美しい棚田を持っています。これを使って大勢のツアー客を呼び寄せる。来てもらった人には、格安で苔玉作りにチャレンジしてもらい、その魅力を知ってもらう。

同時に小学生の遠足で棚田見学、赤牛見学をしてもらい、小学生にも苔玉作りにチャレンジしてもらう。そして子供が持ち帰った苔玉は、子供はどうせ面倒を見ないので、親、祖父母が代わりに面倒をみる。枯らしてはかわいそうと毎日霧吹きで水を掛ける内に、家族がその魅力にハマっていってしまい、いつしか本山町を訪れてしまう。このような地道な努力を続ければ、10年後には苔玉の一大ブームが来るかも知れません。

徳島県上勝町は葉っぱを婆ちゃん達が売って地域が活性化しました。高知県本山町は、苔と苔玉を都会人に売って地域を活性化しては如何でしょうか。

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