2013年1月25日(金)
ロシアの極東部の困窮 日本がロシアに恩を売る
平成24年8月26日付日経新聞に面白い記事が載っていました。共産主義ソビエト時代に国策で進めてきたロシア極東開発が、人口減などで岐路に立っていると言うのです。
今まで極東を発展させようと鉄鋼、造船、石油開発等を進めてきたが、ロシアの民主化が進み極東地区での仕事が激減。辛い自然環境の地であり、元々喜んで移り住んできたロシア人は少ない。物価も輸送コストが高いことから、モスクワよりも高くなってしまう。ソビエト時代は色々な補助もあったが、現在は高物価で住みづらいのが極東地域。このような状況下、住民はこの地を見限りどんどんモスクワ、サンクトロベルク等のヨーロッパ方面に移住してしまい、極東部の人口が減少し続けている。
ソ連時代は、日本や中国から国土を守る戦略的地域であり、政府は工場を増やし、モスクワの2倍から3倍の給料を支払って、人々を引き寄せた。だが市場経済への移行で恩典は失われ、魅力の無い地域になってしまった。面積で全国土の36%を占める極東は、総人口の4.4%しか住んでいない。このまま行ってしまうと、ロシアの国土の3分の1以上が荒廃しかねない危機にある。ざっとこう言った内容です。
世界一の領土を持つロシア(1707万k㎡、日本の約45倍)も、人口はたかだか1億4200万人。日本の1.2倍くらいしかいません。ソビエト時代は、3億人近くいたから大国に見えたけど、ロシアだけになってしまうと意外と大したことがありません。吉本関西風の表現なら、「人口、スカスカや」。
住むところは一杯あるし、もっと住みやすいヨーロッパ方面の方が絶対良いし。わざわざ仕事も少なく、物価も高く、冬が滅茶苦茶寒いようなところに住む必要はないでしょう。日本人だって、東京から網走、稚内に移住しようとは思わないし。
網走、稚内よりさらに厳しい寒さのサハリン、ウラジオストック。過疎化に向かう理由は、日本の比ではないようです。優秀な技術者がモスクワに戻ってしまえば、ロシアの石油産業、天然ガス事業も滞ってしまいます。
そこでロシアは、どこと組んでこの逆境を乗り切るか。黒竜江省と国境を接する中国と組むか。それとも地理的にも近い韓国か。もしくは、北方領土でうるさく言ってくる日本と組むか。事実、中国にもしきりにアプローチを掛けているようです。
もしここで、領土問題は領土問題。経済は経済と割り切って、ロシアと手を組んだとすると、多大なメリットを日本は得ることができます。特に中東カタールから運んでいる液化天然ガスの量を減らすことができます。ロシアから天然ガス輸入量が増やせれば、中東、特にイランで万が一暴動が起きたとしても、多少なりとも傷は浅くできます。
サハリンの石油開発でロシア政府に無茶をやられたという過去はありますが、現場の技術者を派遣して、日本人が保守管理をしなければ石油、ガスの生産がストップしてしまうというように持って行ってしまえば、ロシア側も無茶はできないでしょう。
鈴木宗男氏が言うように、サハリンから北海道まで天然ガスパイプラインを敷設できれば、天然ガスを液化する膨大なコスト、輸送するタンカー代が削減できます。シェールガスの産出増大で厳しい状態になりつつあるロシア天然ガス事業ですので、安定供給先として日本に天然ガスを売れれば、ロシアにとってもこんなに有難いことはありません。
メドベージェフ首相が、日本の北方領土である国後島に、2010年に続き2012年にも視察のため上陸。尖閣諸島、竹島問題に並び、日本外交の悩ましい問題となっています。ここは自民党政権になったところで、お互いのメリットの為に、ガツンと天然ガス事業で経済協力が進むことを強く望みます。
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