2013年2月25日(月)
竹粉の力で栃おとめも糖度が増す!
大越貴之さん主催の茂木町ツアーに参加し、3年前に見学した栃木県茂木町の町営の堆肥センター「美土里館(みどりかん)」を再び見学しました。
ここの堆肥工場は、普通はただ捨てられてしまうだけの
・牛の糞尿(酪農家件数は7件。個々に糞尿処理設備を設ける資力が無く、茂木町で糞用処理場を作ろうと始まったのが美土里館の始まり)
・家庭の生ごみ(町が集めてきたもの。生ごみを重油で燃やさないで、発酵処理することを選んだ)
・米のもみ殻(多少は畑、田に戻しても、多くはCO2を出すだけの厄介者。)
・落葉樹の落ち葉(地元のじいちゃん、ばあちゃんが山で採取し、有料で町に売る。町が支払う落ち葉採取の年間予算は800万円。これが、じいちゃん、ばあちゃんの収入として地元に還元。山で働くことで高齢者の良いレジャーとなり、高齢者は現金収入を得るために、寝たきりになどなっていられない。)
これらを使って堆肥を作っています。糞尿、生ごみ等の汚臭は、広葉樹のおがくずを混ぜることでかなり軽減させることができます。最後は堆肥を製品として、地元農地や家庭園芸用にリサイクル販売しています。
今回新たに戦力として加わっていた材料が、“竹粉(たけこ、竹パウダーともいう)”でした。厄介者の孟宗竹を機械で細かく砕き、竹粉にしたものです。上記の牛の糞尿、家庭生ごみ、落葉樹の落ち葉、もみ殻、おがくずを細かく砕いて混ぜて発酵させた後に、竹粉を最後に投入します。
竹粉には乳酸菌が豊富に含まれており、竹粉を投入することで従前より発酵が一段と進み、最終段階2週間くらいかけて乾燥させる工程が不要になったそうです。竹粉だけを置いてある場所では、少し掘ってみると発酵熱で熱くなっています。結構熱く50度くらいの熱がありました。
茂木町では竹粉を堆肥だけに留めておくのはもったいないと、現在色々が利用法を考えています。既に他の地域では、下記のような利用を進めており、竹パウダーとして販売している会社もあります。
・家畜飼料用として利用:腸内の乳酸菌が増えることで牛、豚、鶏の病気が減り、糞の臭いも大きく減る効果がある(消臭効果が高い)。牛舎、豚舎、鶏舎の土に竹粉を撒くのも有用。
・田畑に肥料として投入:竹粉を混ぜることで土中の菌が増え、作物の生育が良くなり、旨味も強くなる。
茂木町では、人間の食用にならないか女子栄養大学に研究してもらっています。食感がどうしてもひっかかるのですが、せんべい、クッキーの類には向いているそうです。
美土里館見学の後に、矢野さん(茂木町の現役の農政課長で少し前は美土里館の所長。息子さんが専業農家)のイチゴ畑を見学に行きました。ビニールハウス内で栃おとめを作っています。矢野さんの作り方は完全無農薬で、肥料は町で作っている美土里堆肥を使って生産しています。昨年から美土里堆肥に加えて、試しに竹粉を使ってみたところ、イチゴの病気は減り、生育も良くなり、その上甘味が増した。竹粉の実力に改めて驚かされたそうです。
我々も矢野さんの大粒のイチゴをビニールハウスの中で説明を聞きながら頂きました。このイチゴが、驚くほど甘味が強く、酸っぱさもちょうど良い。今まで食べた中でも、最上位の美味しいさです。矢野さんの話しでは、普通売っているイチゴの糖度は11から12くらい。矢野さんのところは最低でも14、一番甘くなる時は18、19にもなるそうです。糖度18だと、砂糖を食べているような感じだそうです。
そうかイチゴってこんなに美味しいのか!デパートで売っているのは色・形も良く大きいのですが、中は空洞になっているのが多く、味は今一です。矢野さんのイチゴは甘味も強く、芯まで美味しさが詰まっています。茂木は日照が平地に比べて多少少ない分、イチゴが急に大きくならず、徐々に旨味が増していくそうです。
また農協には出荷しないで、道の駅や特定のお店に直接卸して販売しています。農協ルートだと最短でも店頭に並ぶのに3日くらいかかり、多少青いうちに摘む必要があります。そうではなく、畑で真っ赤になったイチゴだけを近隣ですぐに売ってしまう、そういう売り方をしています。
イチゴの生産は、例年12月中旬くらいから6月中旬くらいまでできるそうです。イチゴの生産で一番重要なものは、とにかく温度管理。時期によって管理する温度は違うものの、その時期にあった最適の温度を保つ。これが一番大変だと仰っていました。
色々な技に加えて、竹粉の力が加わった矢野さんのイチゴ。大粒のイチゴ4パック入りを2000円で買い、家族にお土産で持って帰りました。翌日食べたイチゴは最高の状態で、家族一同感激の美味しさです。このイチゴを食べるだけでも、茂木に行く価値は充分あります。
追記1)美土里館で説明を聞いている時に、牛の糞尿だけを堆肥にしているというので、養豚場、養鶏場の糞尿はないのか聞いてみました。豚、鶏は牛と違って大規模農場化が進んでおり、農家ごとに肥料として販売し、貴重な収入になっているそうです。
追記2)イチゴを無農薬で作る手法の一つが、夏の暑い時に土も高温にし殺菌する手法を取り入れているそうです。
追記3)竹粉を使って程よく発酵させ、砂風呂のように楽しむことが出来そうです。竹なので香りも良く、殺菌作用もあるので、温泉の一部に「竹粉風呂」があれば結構楽しめるはずです。
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