2013年4月16日(火)

貧困国にきれいな水を提供する日本ポリグル

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

2013年3月19日テレビ東京放送のガイアの夜明けで、「世界の子供を救う日本の水」という題で、日本ポリグル小田兼利社長(72歳)を取り上げていました。今まで何回かテレビ東京で日本ポリグル社を取材していますが、やはりなかなか大した会社です。

番組の内容は

・世界中では7.8億人の人が安全な水を利用できない状況にあり、川の泥水を飲んだりしている。アフリカのソマリアでは、人口の71%がきれいな水を飲めない。平均寿命は51歳で、世界で5番目に悪い数字。特に5歳未満の死亡率は、悪い水を飲んでいるのが原因で18%と最も高い。

・大阪市中央区の日本ポリグルは、従業員36人の中小企業。小田兼利社長はシャープ在職中に神戸淡路大震災で被災を受け、被災後飲料水に困り、きれいな水の大切さを知る。そして世界には水で困っている大勢の人が居ることを改めて知り、シャープを退職後に水浄化ビジネスの日本ポリグルを立ち上げる。

・納豆のネバネバ成分が水浄化作用を持っていることを発見し、画期的な水浄化剤を開発。この成分を泥水に入れてかき回すだけで、泥や有機物成分がくっ付きそれを取り除けばきれいで透明な水にすることができる。日本ポリグルはこのネバネバ浄化剤で特許を持ち、現在世界40か国(ほとんどは貧困国)でポリグル社の浄化剤が使われている。浄化剤は100gあたり100円で売っている。

・ソマリアはイスラム過激派がテロを仕掛け、50万人とも60万人とも言われる難民が出て難民キャンプに避難、世界で最も危険な国と言われている。この難民キャンプにきれいな飲み水が無いので、何とか浄化剤を作って欲しいとIOM(国際移住機関)から小田さんは要請を受け、ソマリアに向かう。

・ぼろぼろの布で作られた粗末なテントが無数に建つ難民キャンプ。ここから600m離れたところに泥水が流れる川があり、これが難民者の生活用水となっている。様々な生活汚水も混入しており、少しでもきれないな水と思って奥の方に行くと、棲息しているワニに食べられてしまう。この汚い水を毎日飲んで、ひどい下痢が続く子供たちが絶えない。

・小田さんが2Lくらいの水に耳かき2杯分くらいの浄化剤を入れ掻き回すと、汚い成分が固まり透明な水になる。これだけでも今まで飲んでいた水に比べれば相当にきれいだが、もう少し立派な簡易水道を総費用10万円(日本政府の援助金)で作る。大きなタンクを3つ並べ、最初のタンクに川からモーターで泥水を引き入れる → ここにポリグル社の浄化剤の粉を入れ、大人たちが木の棒で掻き回す → きれいになったところで、きれいな水だけを次のタンクに流す → 2番目のタンクには小石や砂が底に敷かれ、ここで水をろ過させ沈殿物を取る → 3番目のタンクには塩素を入れ、細菌を殺菌処理する。

・こうして作られたきれいな水は、取り付けられた蛇口をひねると好きなだけ飲むことが出来る。大人も子供も大喜び。汚い水しか知らない子供たちは、水が美味しいものだと心から感動する。浄化剤の費用は40kgで4万円。この量で1500人の2か月分の水道代を賄うことができる。最後に、小田さんが日本の援助で簡易水道ができたことを印す為に、日の丸マークを浄化装置に貼る。

・次の国はバングラディッシュ。白いポロシャツにJPGBのマークを付けた現地の人が小田さんを迎える。JPGBは、ジャパン・ポリグル・バングラディッシュで現地で簡易水道を運営する会社。5年前に水に困っていたバングラディッシュの水浄化事業に何とか協力しようと、簡易水道を作って村人を大喜びさせた。しかし、暫く経って現地を再訪すると水飲み場の蛇口がすべて盗まれ(貴重な金属として換金化されたよう)、全く稼働していなかった。誠意だけでは駄目だ、ビジネスとして運営が回らなければいけないと思い、現地でポリグルボーイという職員を雇い、簡易水道事業を興す。

・浄化されたきれいな水を10L・3円で売る仕組みを作る。現地のミネラルウォーターの100分の1の料金で、7000世帯が契約。売り上げは月額200万円。集金は現地職員の女性が行い、1件75円とかを徴収している。今は職員が水道施設に寝泊まりして浄化と保安を行っているので、設備の盗難事故も起きていない。

・この村のあるボルグナ県は人口100万人。ここの知事さんから、日本ポリグルの水道事業をボルグナ県全体に広げて欲しいと要請を受ける。

・その後ソマリアの難民キャンプでは13カ所に日本ポリグル社の簡易水道が設置され、現在5万人がきれいな水を飲めるようになった。

非常に爽やかな良い番組でした。BOP(ベース・オブ・ピラミッド)ビジネスは、現地の実情に合わせ、少ない資金でこうやるんだということを勉強させてくれました。国民栄誉賞はこう言う人に上げないとなあ。

それに映画、ドラマの題材としても素晴らしい。どうでも良い詰まらない映画ばかり作っていないで、この内容を映画化すればスマッシュヒット間違いなしです。

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