2013年4月29日(月)

リゾートマンションの現状とこれを活かす方法

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

リゾートマンションエリアとして人気の箱根地区。ずうっとそう思っていましたが、これが既に過去の話になっています。箱根のリゾートマンションの鑑定評価の依頼を受け、10数年ぶりに調べた価格は驚くほど値下がりしていました。

レインズ(不動産流通機構)登録物件は軽く150件以上。20年くらい前に、4000万円~6000万円で売り出された物件が、成約ベースでは1000万円以下となっています。築年が25年以上の昭和築案件だと、500万円でも売れなくなっています。お金に余裕がある人が買うのがリゾート案件なので、数百万円高くても良い物から売れてしまう。結果、安くしても売れないという状況に陥っています。

元々はリゾートマンションの主要な購入者は、社員の福利厚生目的の法人でした。大浴場やレストランを施設として設けているので、毎月の管理費、修繕積立金で3万円以上かかる物が大半です。このような物を買うのは、個人よりも法人だったのです。これがバブル崩壊後、余計な資産は持たないと言う事で、法人が需要者から一転売りに出しました。この流れがずうっと続き、今でも反転の兆しは見えていません。

結果的にリゾートマンションは売るに売れない資産と化し、購入者たちも高齢化によりほとんど使わず、子供たちもたまにしか使わない状況となっています。これを何とか有効利用できないか、考えてみました。

昔は保養所、リゾートマンションを所有し、社員の福利厚生で使っていた企業は今どうしているでしょう。ベネフィット・ワン、パソナなどが提供する会員に登録し、社員が低料金で使えるようにしているところが多くなっています。企業も全く社員の福利厚生を止めてしまったわけではなく、敢えて自社では所有しないと言う方向に変わったと言うことです。

それなら何時も一定以上のリゾート利用者数が見込める会社であれば、買わなくても借りると言う需要はありそうです。売ろうとしても売れないのだから、10万円でも、いや7万円、6万円でも貸して管理費負担だけでも軽減したいと考えているオーナーも大勢いるはずです。このように低い賃料でも貸して良いと言うオーナーと、安く保養所として借りられるならまとめて5室、10室借りておこうかと言うマッチングの商売は成り立ちそうです。

もう一つ考えられる商売が、リゾートマンションをレンタルマンションとして運用する方法です。大人4、5人が泊まれるリゾートマンションは、1泊1万円とか1.5万円の需要はあります。売れなくて困っているマンションを1室5、6万円で借り、これを1泊1万円でホテルとして貸し出す。1か月に10泊もしてくれれば、清掃、リネン代を入れても十分に採算に乗りそうです。

10年くらい前に聞いた話で、伊豆で売れなくて困っているリゾートマンションをタダ同然で買い取り、これをレンタルマンションとして上手に商売をしている人がいると言う話を聞いたことがあります。これの買い取り版ではなく、賃借版ということです。レンタルで借りたい需要は、ネットを使えば低コストで集客可能ですので、当社としても今後真剣にリゾートマンションのレンタル事業を考えるつもりです。

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