2013年7月28日(日)
豚を飼って耕作放棄地を再生
かみさんが見たテレビ朝日の番組「モーニングバード」で、耕作放棄地で豚を飼う農家の話を放送したそうです。最近TPPが導入されると日本の農業がどうなるかという切り口で、前向きな農家、TPPで壊滅的にやられてしまうとされる農家などを多面的に取り上げています。
「豚を飼う農家が耕作放棄地でどうしていると思う?」とかみさんに聞かれ「どうするんだろう?豚じゃ草喰わないし。まずヤギに草を食べさせて、その後に耕作放棄地で輸入配合飼料をやって育てるんじゃないの。」と適当な事を言うと、「豚さんが草をほじくり返すように食べちゃうんだって。草食べて排泄もして栄養が付いた畑で、今度は豚が食べる餌を育てるって言うの。今まで草ぼうぼうになっていた畑を豚が自分で耕して、今度は餌作っちゃうなんて凄いわよね。スタジオのみんなも感心してた。」
そうか、そういう手があるのか!豚が自分の餌を自分が耕した畑からもらうのか!これを実践している農家さんは頭がいいな。番組を見られなかったので、ネットで情報を拾ってみました。
番組で紹介されていた農家は「えこふぁーむ」という鹿児島県肝属郡肝付町の農業生産法人で、循環型農業を目指している法人でした。代表取締役は中村えい子さん。中村さんのインタビュー記事には「耕作放棄地に生えている草などは人にとっては必要のないもの。でも豚にとっては餌になる。豚がそれを食べることでどんどんと耕されていく。しかも、地中の虫やミネラルを求めて豚は1メートル以上も土を掘りかえしてくれる。重機でお金とエネルギーをかけて行えば一瞬のうちにできることだが、豚に時間をかけてやってもらうことで豚の肉質も豚の精神環境もよくなる。」そうなのか、豚はヤギのように草を餌として食べ、そんなにも深く土を掘るのか!
東日本大震災の後に被災地の企業にクラウドファンディングで資金を集め復興を手伝ったミュージックセキュリティーズが、ファンド事業で協力しています。以下は、えこふぁーむのHPの内容を抜粋でまとめてみました。
・東串良町農業委員会に協力してもらい、肝付町となりの東串良町の耕作放棄地に豚を放牧している。えこふぁーむでは、従来型の大規模養豚業を目指すのではなく、未来へ贈れる、生産者と消費者でつくる循環型農業を目指している。その実現のために個人の方にも出資(クラウドファンディング)をしてもらっている。
・美味しくて安全な豚肉を作るために、極力、肥育に人の手をかけず、 自然交配、自然分娩、そして離乳後は、野や山への放牧を行っている。 放牧は1頭あたり200㎡以上の面積に放牧し、適度な運動ができストレスのない環境を提供。
・その放牧地として地域の耕作放棄地を活用。豚が雑草木を食べ、土を鼻先で耕し、糞尿で肥やす習性を活用し、農地や山林として再生を行っている。再生した土地では、新たに西洋野菜や飼料米の生産、広葉樹の植林などを行っている。
・ファンドを活用して2年目となる2011年は、自社のハム・ソーセージ工房をフル活用し、高付加価値で収益性の高いハム・ソーセージの製造および新たな販路開拓に注力。豚の餌としては、元々地元名産の焼酎蒸留後の廃液を使用していた。耕作放棄地を豚が開墾した後に、飼料用とうもろこしや大豆などの飼料作物を作り豚に与えている。肉質を維持しながらも豚の肥育期間を短縮し(8ヶ月から14ヶ月)コスト低減を図っている(通常の養豚業だと飼育期間は6か月なのでやはりじっくり育てている)。
耕作放棄地を再生し循環型農業でハムなどの加工品を味わい、また土地再生から加工品ができるまでの循環を楽しむ。また宿泊所もあるのでグリーンツーリズムを楽しむことができる。気に入れば、エコファームを応援するために少額出資をして配当としてここでできた安全なハムを現物配当してもらう。なかなかストーリー性のある良い話です。
以前読んだ養豚業の本では、放牧の豚なんて現場を知らない人間の夢物語でしかない。外に豚を出せばいろんな菌をもらって、安全な豚など出荷できないと言う本を読み、そうかプロの世界はそういうものかと納得した記憶があります。しかし、えこふぁーむさんのように、きちんと放牧豚を育てている農家もあるんだ。鹿児島なのですぐには行けないのですが、機会があれば是非尋ねてみたい農家さんです。
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