2013年7月29日(月)
沖縄恩納村タイガービーチにモントレホテル開業
今年の6月に沖縄県恩納村にモントレホテルが開業しました。モントレホテルは、消費者金融アコム創業者の木下一族の㈱マルイトが経営しています。従来は、銀座、大阪、神戸、札幌、仙台などの大都市でのホテル展開をしていました。高級ホテルではないけど、普通のビジネスホテルよりも少し上のクラスのホテルという位置づけ。ただ近年は札幌のホテルエーデルホフや大阪のJR新難波駅(OCAT)のホテルモントレ・グラスミアなど、高級ホテルも運営しています。最近のホテル会社は、ほとんどが運営特化で土地を買って開発する会社は少数ですが、マルイトは土地から開発する会社です。他にはAPAも土地から開発しています。
このモントレ(マルイト)が沖縄のホテル用地を探していると聞いたのは、5年前くらいでした。その頃はリーマンショック前後で新興不動産会社が次々と破綻し、沖縄でも開発中のホテル案件が数多くストップしていました。本部半島の瀬底島と恩納村の2カ所の大型案件を仕掛けていたのが都市デザインシステムでした。
本部半島の瀬底島は、バブル時代にアパレルのBA-TSU(バツ)が購入し、ゴルフ場のミニコースがありました。これを2006年頃都市デザインが購入し、大成建設の施工で工事が始まりました。全室100㎡を超えるオールスイートの360室と、誰もがビビるハイエンドホテル。上棟まで工事は進んでいましたが、工事はそこで中断。現在でもハイエンド仕様過ぎて引き受ける人が出ておらず、コンクリートむき出しで4、5年が経過しています。大成建設もこのまま諦めるか、根性入れて自分で仕上げてしまうかどちらかしかないでしょう。
もう一カ所の恩納村は、元々タイガービーチと呼ばれるプライベートビーチでした(海沿いのビーチなのに個人が当時所有)。沖縄の方は、浜辺で夜通し行われるバーベキューのビーチパーティー(地元風に発音すればビーチパーリー)が大好きですが、タイガービーチも長くビーチパーリーのメッカでした。海岸の南側隣接は沖縄リゾートホテルの先駆けとなったムーンビーチホテル(1975年開業)。ロケーションは問題なく素晴らしい所ですが、難点は敷地が3000坪程度とリゾートマンションを開発するには土地面積が狭かったことです。都市デザインはタイガービーチを購入後、人を常駐させ隣地買収交渉を行い開発を目指しました。しかし結局2008年8月に民事再生法申請、会社は破綻してしまいます。
マルイトは工事途中の瀬底島は選ばず、土地だけの状態だったタイガービーチと隣接地を購入し自ら開発を行いました。恩納村のビーチはきれいだし、近隣にホテルも並んでいるし、なかなか良い立地です。ちなみに施工は鹿島建設。大阪のOAPも新難波のホテルモントレ・グラスミアもすべて鹿島が建てています。
ホテル名称:ホテルモントレ沖縄 スパ&リゾート 所 在 地:沖縄県国頭郡恩納村字冨着1550番地1
敷地面積:14,431平方メートル(ホテル棟) 17,000平方メートル(ガーデンエリア)合計は29,431㎡(約9,000坪)
階 数:地上12階、塔屋1階 客 室 数:339室
追記1)2008年7月民事再生法を申請したゼファーが開発していたのが、恩納村フチャクの開発事業。ホテルコンドミニアムとして分譲目的のリゾート事業でした。ここの工事も大成建設が請けていました。こちらは完成後の破綻だったので、大成建設が引き取り、現在「カフーリゾートフチャク」として販売を東急リバブルが行いマンション分譲を行っています。国道58号線の丘の上の場所なので、タイガービーチ「モントレーホテル沖縄」に比べるとリゾート感が数段落ちます。
2)福島県いわき市に、20年以上前のバブル時にナナトミが開発したゴルフ場の「いわきグリーンヒルズカントリークラブ」とホテルがあります。総開発費1700億円という巨額を投じ、ホテル(15階建て、174室)、ゴルフ場、乗馬クラブという豪華リゾートを作る計画でした。ゴルフ場は開業したのですが、ホテル棟は建物が上棟し、内装工事に入っていた辺りで支払いができず工事が中断。あれから20年以上経過したので、もうどうしようもありません。ナナトミは、飛島建設のOBたちが作った鉄鋼商社で、バブル時代に派手に事業展開し、平成3年に2966億円の負債を抱えて倒産しています。
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