2014年1月15日(水)

川崎定徳の六本木ロワビルと森ビル主導の再開発

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

旧川崎財閥の中枢だったのが不動産資産を多数保有する川崎定徳です。その川崎定徳を長く番頭役(社長)として運営していたのが、昔の不動産関係者には超有名人だった佐藤茂氏です。私より20歳以上年齢が上の方たちには、その名前は”神”として通っていました。その佐藤茂氏の名前が一躍世間に有名になったのが、住友銀行が平和相互銀行を呑みこんだ金屏風事件です。

平和相互銀行経営者側の実力者であったのが伊坂重昭監査役(元東京地検特捜検事)。伊坂氏らと対立していたのが平和相銀創業一族。創業一族は所有していた株(全株式の33.5%)を旧川崎定徳・佐藤茂社長に80億円で売却してしまう。この株を買い戻そうと、竹下昇秘書ルートで、「金屏風を40億円で購入したらその資金で株が買戻せるとしの取引が可能になる」との話しがあり、その話しに乗ってしまったのが伊坂監査役達経営陣。結局株を買い戻せず、住友銀行に吸収合併されてしまいます。

川崎定徳の一番の資産は、六本木界隈でした。他には、日本橋の日本信託本店(現在の三菱UFJ信託日本橋支店)も所有していました。六本木では、外苑東通りにある有名飲食店ビル「ロワビル」の再開発を行い、大半の床を所有していました。元々は底地を川崎定徳が所有していて、多数の借地権者と共同事業でビルを建てたのでした。

ロワビルの裏のハードロックカフェがあるビルも川崎定徳の所有。そのさらに裏の大きな平面駐車場(東洋英和の手前まで)も川崎定徳が所有していました。六本木の大地主だったのです。

この川崎定徳がバブル時代に、川崎家三代目の事業でゴルフ場、リゾート事業に手を出し、多額の借入金を抱え経営がおかしくなります。メインバンクは住友銀行。住友銀行も平和相互銀行の合併で佐藤茂社長に多大のお世話になっているので無碍にはできません。しかし佐藤茂社長死去後、他の不良債権処理がどんどん進む中、何時までもほっとくわけには行きません。

この川崎定徳の資産を2005年に買ったのがローンスターでした。一応入札(bid)の形は取っていますが、何らかの事前合意があったとの噂もあります。ちなみにタクシー会社の国際興業(km)の赤坂ビル、赤坂ツインビルの大型入札でもローンスターが取っています(この手の創業者絡みの入札にはめっぽう強い)。

六本木のロワビルの区分所有床、その裏のハードロックカフェのビル、大型駐車場は現在どうなっているのか。所有はSPC名義になっていますが、このSPCのエクイティホルダーは森ビルです。ほんの一部のエクィティを川崎定徳が所有しているようです。土地面積は12,528㎡とネット記事には出ています。この土地だけで再開発を行わず、周りの土地も加えていきながら今後じっくりと計画を練っていくのでしょう。

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