2014年7月1日(火)

借地権付戸建の投資

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 日本の不動産価格でおかしいところは、建物価格が適正に評価されないことです。少し古くなると建物評価は大きく下がり、築年で20年、25年超えると中古市場ではほとんど価値を見てくれないとことが多々あります。しかししっかり作られた戸建住宅は、少し手を入れれば十分に長く使うことができます。戸建住宅の大半を占める木造住宅で言えば、本来数十年で駄目になる素材ではなく、適正に維持されれば100年を超えて使用に耐えられます。ただどうしても築年数が経てば建具の狂いも生じ、サッシ、扉が開閉しづらくなってはきますので、随時手間を掛けて補修することが必要です。

 これを投資サイドから言えば、「本来価値がある建物を安く購入できる」ということです。現在の個人投資家の不動産投資は、アパート投資か区分所有のマンション投資がほとんどです。戸建住宅を投資用で買うことはほとんどありません。鉄筋コンクリート造の建築費が高騰している現在、建物代の少ない戸建投資は非常に魅力があります。先日愛知県の不動産鑑定士の方と話していた折、最近は戸建て住宅を投資用として取得する動きがあるとも聞きました。

 一方、土地権利が借地権案件も人気がありません。借地権だと銀行融資が受けづらい。売買したり、建て替えたりするのにいちいち地主の承諾がいる。何となく、権利が不安だ。理由を上げればきりがありませんが、不動産が余ってきた現在は本来の価値よりもかなり下げたところでないとなかなか売れません。相続税路線価評価で、C地区(借地権割合70%)、D地区(借地権割合60%)と言っても、借地権価格は40%、場合によっては30%くらいでしか売れない案件も多数あります。

 それならば、“借地権で築年数が30年を超える物を投資用として取得すればよい“と考えました。不動産業者が見ることができるレインズ(不動産流通機構)で検索すると、足立区、葛飾区辺りであれば1000万円以下で買える戸建住宅(借地権、築年30年くらい、延床面積80㎡以上)もちらほら出てきます。1500万円くらいであれば相当数物件は出てきます。新築のワンルームマンションが2000万円、中古でも1000万円くらいであることを考えれば、同じくらいの価格で80㎡、90㎡の戸建が買えるということです。

 但し、現在は東京でも空き物件は相当数ある時代です。不動産を買えば借りてくれる人がいると言う時代でもありません。今考えているのは、福祉系の会社と組んでそこの社員の方専用のシェアハウスにすることです。福祉系で勤めている方は給与がさほど高くなく、一般のアパートの賃料もできれば下がることを望んでいます。

 4LDKであれば一人3万円もらうと12万円の収入。借地の地代で2万円支払ったとしても10万円残ります。借りる方も6万円のアパート代が半分の3万円で済ませられます。このような戸建がリフォーム代含めて1200万円で買えれば、投資利回り10%。税金を考えなければ投資額を10年で回収できます。

 優良な場所で、建物も立派で価格も高い。でも投資利回りは4~5%。ちょっとジャンクだけど投資利回りは10%以上。私の投資法としては、危ない橋を渡るべきと思っています。

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