2010年7月12日(月)
1-7 住宅瑕疵担保履行法
構造計算を偽って耐震強度不足の分譲マンションを作ってしまった姉歯事件は、住宅業界を震撼させました。よもやマンション建築の要である構造強度に欠陥があるなんて。しかしより深い問題であったのは、審査する側に審査能力がなかったことが明らかになったことです。その後、建築確認申請の厳格化、構造計算の二重チェックが慌てて作られ、現場では建築確認申請業務は混乱が暫く続きました。
一方、欠陥マンションが万が一供給されてしまった場合の消費者保護のために、平成21年10月より「住宅瑕疵担保履行法」が施行されることになりました。新築住宅の売主と建設業者は、瑕疵担保責任履行のための資力を確保するために、「保証金の供託」か「保険加入」のどちらかを行う必要があるのです。
住宅品質確保法が平成12年4月に施行され、新築住宅の売主(建売り業者、マンションディベロッパー)及び建築業者(工務店、ゼネコン)には、10年間の瑕疵担保責任が負わされました。構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分が10年保証の対象です。現状は新築住宅を供給している宅建業者であれば、強制加入の住宅性能保証保険だけでなく、任意加入の瑕疵担保責任保証にも入っているのが普通です。しかし、姉歯問題のような事件が起きてしまうと、建替え費用まで保険でカバーされている仕組みが必要となり、新法の導入に至ったのです。
住宅瑕疵担保履行法による供託金は下記の通りですが、例えば50戸供給している宅建業者は7000万円、1000戸供給している宅建業者は1億8000万円の供託金が必要です。ここで戸数は、瑕疵担保責任を負っている戸数、すなわちその宅建業者さんが10年間供給した新築住宅の累計額で算出します。余裕のある業者さんは供託も可能でしょうが、ほとんどの業者さんは保険を使うことになると思われます。
保険料は、保険引き受け主体(指定保険法人)が指定されています(㈱住宅あんしん保証、(財)住宅保証機構等、平成22年6月30日現在6社)。保険料は、戸建住宅であれば大体4万円前後/棟、分譲マンションであれば2.5万円前後/戸くらいです。
建物の欠陥が見つかった場合、原則は売主および建設業者が自ら補修するのが原則です。しかし、売主、建設業者の倒産等により、補修してもらえない時は、保険法人から発注者・買主に損害相当額の保険金が支払われることになります。業者が供託している時は、供託所から供託金が還付の形で支払われます。
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