2017年7月12日(水)
旧東ドイツのライプツィヒの再生に学ぶ
ネットで「旧東ドイツのライプツィヒの町の再生」という面白い記事を見ました。
・建物や歩道がきれいに整い、道路がアスファルトから敷石に戻り、2013年には幼稚園が新設されたのがライプツィヒのヨーゼフ通り。今では人気の通りとなった。しかし1990年代は最も衰退した通りだった。以前は1000人いた人口が、2000年にはたった10人ほどになってしまった。ヨーゼフ通りの再生のきっかけは、都市農園「近所の庭」。
・「近所の庭」は2003年、近隣に住む母親たちが子供を安心して遊ばせることができる場所を作りたいと市民グループを組織して始まった。ゴミ溜めになっていた4000平方メートルの土地を市民が協力して片づけ、小屋を建てて整備していった。農園、子供の遊び場、自転車工房、木工房、豚小屋、ワラ・漆喰の小屋、ピザ窯などを市民メンバーが作り維持管理を行うようになった。
・ワラ・漆喰の小屋は、住民が近隣から建材を集め、市民の力だけで作った。地域の子供たちの誕生日パーティーがここで行われている。
・ライプツィヒ市は2000年時点で約68000戸の空き家(約22%の空き家率)を抱えていた。不動産市場を正常化するために、市は90年代後半から空き家の取り壊しと暫定緑地の創成を促進するプログアム「利用許諾協定」を始める。不動産価値のない建物の取り壊してもらう代わりに、8年から10年間は固定資産税の免除を行う。その期間は公共の緑地として維持管理する。2012年までに17ヘクタールの空き地が暫定緑地となった。
・市民の力で自ら緑地を維持管理することで愛着を持つ居心地の良い空間を作り出した。それにより衰退していた町が再び活性化された。
まさに衰退中の日本の各都市で直ぐにでも実行したい行政プログラムです。行政が金を出すのではなく、緑地となるべく土地だけを行政が提供する。それをどう居心地の良い空間にするかは、市民の創造性、やる気に掛かっています。建材を持ち寄り、市民が自ら建築を行うなんて理想的な姿です。自分たちで作った空間、緑地、建物だからこそ本当の愛着が持てます。親のそういう姿を子供たちが見ていれば、町への愛着が次世代へと伝搬していきます。
相川俊英氏著書の「反骨の市町村」(講談社)で、長野県最南端(静岡県隣接)にある下条村を紹介しています。人口4000人で、平坦地はほとんどない山の中の村。この村が1992年から始めているのが「建設資材支給事業」です。村道、農道、水路などの整備は住民自らが行い、村はその資材を支給すると言う事業です。
昔の日本は住民自らが力を出し合って、水路、堤防、道路の整備を行って来ました。この仕組みを現代に蘇らせたと言うことです。こうして住民自らが整備・補修した村道や水路は1565か所もあるそうです。累計総事業経費は約3億円、1か所辺り20万円弱で済んでいます。
自分たちが欲しい道路は自分たちが作る。自分たちが欲しい集会所は自分たちが作る。自分たちが欲しいレストラン、店舗、カフェは自分たちが作る。公園の中にはバーベキューができるスペースがあって、自分たちでルールを決めて維持管理をする。こういうやる気のある住民たちが多く住んでいる町は、多少不便でも住んでみたい街になります。
予算がない、人がいないと嘆いている町村は、いっそのこと大半の業務を住民に丸投げしてしまった方が、魅力的な地域に変貌させられると思います。
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