2017年9月17日(日)

韓国の人口動態 2017出生率は1.07予想

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

9月17日S-KOREA編集長・槙武宏氏のニュース記事「韓国の2017出生率は1.07」で、韓国の深刻な少子化が書かれていました。韓国の人口に関する他の記事も併せて、下記にまとめてみました。

・ソウルに近い京畿道(キョンギド)・城南(ソンナム)市の市議会で出された少子化対策の条例案で、第3子の出産に対して1億ウォン(約1000万円)を出すという案が出た。第3子誕生時に100万円、3歳・5歳・7歳になった年度に200万円ずつ、10歳時に300万円で合計1000万円を支給するというプラン。ただこの条例案は反対が多く否決されてしまった。

・8月23日に韓国統計庁が発表した統計では、2017年上半期に生まれた新生児は約18.8万人で、ついに20万人を下回った(前年同期比▲12.4%)。このままいけば今年の新生児数は計36万人前後となる。

・韓国の合計出生率は2015年1.24人、2016年1.17人、そして今年は1.03人と予想されている。日本の1.44人(2016年の合計特殊出生率)と比べても、圧倒的に低いことがわかる。

・日韓の比較ついでにいえば、日本の「子供の貧困率」は13.9%だが、韓国は6.9%と非常に低い。韓国の貧困比率が低いのは、低所得世帯は自分たちの生活だけで手一杯で子供を産む余裕がないからと言われている。

*以下は槙武宏氏以外の記事を掲載

・韓国の65歳以上人口は707万人で13.8%を占める。高齢者貧困比率は日本は19.0%に対し、韓国は49.6%。60歳以上の犯罪者は、2010年度は15.5万人であったのが、2014年度は21.6万人と約4割増加した。

・アメリカの経済学者ハリー・デント氏は2016年に「韓国は3年後人口絶壁に直面し、経済不況を迎える可能性が高い」と予測。人口絶壁とは人口統計グラフが急激に減少する現象をいう。2016年が韓国の生産年齢人口最高値であったが、今後急激に減少する。

・人口絶壁の大きな原因は、若い世代の出産ストライキをしているから。若者はなかなか定職を見つけられず、生きていくだけで精一杯。その結果、恋愛や結婚、そして出産を諦めてしまっている。

・日本は1996年から生産年齢人口が減少し始め、2008年から総人口も減少し始めた。韓国も2016年に生産年齢人口がピークで、2030年から年齢が減少し始める。不動産が売れなくなることで不動産不況が起こり、経済停滞の可能性が高い。

・日韓併合前の朝鮮半島全体では人口は700万人以下であった。日韓併合時で710万人。これが第二次世界大戦終了時(朝鮮半島南北分断時)の1945年には2500万人。現在は7500万人で韓国だけで5000万人と近代は急激な人口増加を達成した。

・韓国の出生率推移は1970年には4.53人もあった。これが1980年は2.63人、1990年は1.60人と急激に減少。1990年に始めた産児制限政策実施の影響が大きい。先進国になるためには人口を減らす必要があるとされ、3人以上子供を産むことを制限した。当時世界銀行がお金を貸す条件として、途上国に産児制限を要求した事情もある。

・日本の出生率は2004年(平成16年)に1.26人と最小になり、2014年は1.41人。東京に限って言えば1.0人。中国は正確に分からないが、推定では全体平均が1.18人で、上海、北京だと0.7人程度。2014年のアジア各国では、台湾1.0、香港1.09、マカオ0.92、シンガポール1.24とどこも低い。

・先進国で出生率が高い国は移民を多く入れている特徴がある。移民たちの出生率が高く、平均を押し上げている。アメリカは1.88、イギリス1.9、フランス2.0。

出生率が低いのは韓国だけ特異の現象ではなく、アジア全体で似たような感じです。それでも韓国には戦後急増した人口がいて、出生率が超低空という現象が起きているのは事実であり、日本以上の急激な高齢化社会の到来を意味しています。このままの人口推移が続けば、10年後、20年後の韓国経済状況は相当に悪くなっているはずです。

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