2017年9月18日(月)

日本の貧困家庭の子供比率

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

日本の貧困家庭の子供比率は、13.9%(2015年)で、7人に1人の割合となっています。2012年が16.3%なので、数字的には2.4ポイント改善していますが。

「貧困家庭比率」の定義は、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす17歳以下の子供の割合を言います。この数字の意味を自分なりにデータで調べてみました。

日本人全体の平均年収は414万円。男性が511万円で、女性が272万円と出てきます。女性はパート勤務の方も多いので平均がかなり低くなっています。

ただこれは個人の平均年収で、1世帯あたりの所得を調べると平均は542万円、中央値(ラジアン)は427万円と出てきます。平均は高額所得者も入れての平均値ですので、どうしても思っている以上に高く出ます。貧困家庭比率の定義に当てはめて、542万円を2で割ると271万円となります。すなわち、世帯所得271万円以下の家庭にいる子供(17歳以下)の比率が約14%ということになります。

日本の単身親世帯を調べてみると、平成23年で母子世帯が123.8万世帯、父子世帯が22.3万世帯。年代では20歳代、30歳代の母子家庭が一番多く、76万世帯となっています。

母子家庭で17歳以下の子供の面倒を見ながら働くということであれば、フルタイムは難しくパート勤務にならざるを得ません。となれば年収270万円に達することは難しく、母子家庭はかなりが貧困家庭になってしまいます。

少し古い内閣府データですが、貧困家庭の子供比率の1985年は約11%、これが2009年で15.7%となっています。1人親世帯の貧困比率は50.8、2人親以上の貧困比率は12.7。母子家庭に限れば、60ぐらいはありそうです。

諸外国はどうかというと、2010年ベースでアメリカは21.2。オーストラリアとカナダは15前後で日本と同等。フランス11、英国9.8とやや低く、北欧勢は、デンマーク3.0、フィンランド3.7、ノルウェー4.4、スウェーデン6.9とどこも低くなっています。

2016年2月8日の毎日新聞に、県ごとの貧困家庭子供比率(戸室准教授による推定値)が出ていました。東京10.3、神奈川11.2、埼玉12.2、千葉10.4と首都圏は平均を下回っています。これに対して、関西圏は、大阪21.8、京都17.2、兵庫15.4と平均を上回っています。一番高いのは、沖縄37.5。続いて鹿児島20.6、福岡19.9、北海道19.7、宮崎19.5、高知18.9、青森17.6、熊本17.2となっています。生活費が安く所得が低くても暮らしていける沖縄は、出生率が高いことも相まって断トツ1位になっています。

17歳以下の子供の実数を調べたら、ぴったりの数字が分かりませんでした。平成29年4月時点の15歳以下の人口が1571万人。16歳と17歳の人口概算を各126万人とすると、17歳以下人口は1823万人と推定できます。子供貧困比率13.9%を掛けると、約253万人となります。

職業を「生活保護受給」にしている不埒な親もなかにはいるのでしょうけど、250万人の子供が親の貧困で苦しんでいるのは事実です。生活保護費を支給する以外に、子供食堂お弁当版などの政策も実行可能です。最低限、子供たちが満足に食べることだけは確保すべきと考えます。

このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加このエントリをNifty Clipに追加このエントリをPOOKMARK. Airlinesに追加このエントリをBuzzurl(バザール)に追加このエントリをChoixに追加このエントリをnewsingに追加

最新記事

不動産業界コラム

過去の記事

ページの先頭に戻る↑