2010年11月4日(木)

明治神宮、東郷神社、乃木神社

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 神社には、天照神を祀った天祖神社、須佐之男命等を祀った氷川神社、狐様を祀った稲荷神社、源氏の祖先八幡太郎義家を祀った八幡神社、富士山信仰により富士山を神格化した浅間神社等色々な種類があります。日光東照宮も徳川家康が神になったということで、家康公を祀った神社です。このように偉大な人物が神となって、神社に祀られることは結構最近、昭和初期までは行われていました。その代表が、明治神宮、東郷神社、乃木神社です。

 明治神宮は、文字通り明治天皇(1982年-1912年)とその皇后昭憲皇太后(1849年-1914年)を祀った神社で、大正9年(1920年)に完成しています。大正4年に造営が始まり、全国から9.5万本の献木が寄せられたそうです。これが基になって現在の鬱蒼とした森になっているのです。元々は彦根藩井伊家の下屋敷や近辺の土地を含めて造られました。

 東郷神社は、日露戦争でロシアのバルチック艦隊を破った連合艦隊司令長官東郷平八郎元帥を祀った神社です。バルチック艦隊38隻のうち、戦艦6隻を含む19隻が撃沈され、ウラジオストックに帰れたのはたったの3隻だったそうです。生前に東郷神社を建てたいという話は、東郷元帥に持ち込まれましたが、東郷元帥は断ったとのこと。しかし昭和9年(1934年)に死去すると、海軍関係者の総意で東郷神社建立が決まったそうです。軍国主義、国威高揚のため、国民的に人気の高かった東郷元帥の名前が利用されたということでしょう。

 東郷神社は、原宿竹下通りのすぐ北側明治通りに面してあります。場所的に現在では1等地にあるため、東郷神社の敷地の一部を使ってセコムのオフィスビルが建てられました。ビルを開発したのは、リビエラ・コーポレーション。東郷神社の境内地から600坪を分筆して、地上権を設定。この権利をリビエラ社の関連会社に売却し、セコムビルの開発を行っています。また、その南側のパレフランス跡地もリビエラ社が用地をまとめ、平成16年当時絶頂にあったダヴィンチ・ホールディングスに売却することになりました。この案件はその後、ごたごたしていました。

 乃木神社は、日露戦争で活躍した乃木希典氏を祀った神社です。赤坂の乃木神社は、乃木夫妻が明治天皇大葬の日に、自刃した邸宅の隣地にあります。東京市長だった阪谷芳郎氏が中心となって、乃木希典を敬慕する人々による中央乃木会を設立し、大正12年(1923年)に鎮座祭が行われたそうです。

 乃木神社は、赤坂だけではなく、那須塩原、京都府伏見、下関、函館など全国にいくつもあります。全ては国威高揚なのでしょうけど、軍人が神様になるというのはちょっと不思議な感覚です。

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