2011年2月17日(木)
攻める農業集団「和郷園」
夜のテレビのニュースで、共同で大規模な農業事業を行っている千葉県香取市の「和郷園」を取り上げていました。和郷園は、平成3年に有志5人で野菜の産直を開始。平成10年に農業組合法人和郷園になりました。
和郷園のHPには、“何事も生産者自らが主体的に考え実行。自分たちの手で作ったものは、自分たちで責任をもって消費者の手に届ける。それが原点です。”と、ただ作るだけでない、企業として生きて行くことがうたわれています。http://www.wagoen.com/main.html
和郷園の活動を、テレビ放送の内容とHPの内容から、まとめてみました。
・野菜の生産を行うだけでなく、中枢機能として本部センターを持つ。ここに営業、受発注、栽培管理、集荷機能、および各委員会事務局を集めている。野菜を売る専門の営業部隊が、直接スーパーに売りに行って、自ら野菜を卸す(農協や卸などは介在させない)。スーパーの意見を直接聞くことができ、生産に反映させられる。
・ 不揃いな人参やゴボウ等は、形が悪いと普通はスーパーで引き取ってくれない。味は全く違いが無いのに。形が悪いと言うことだけで出荷されない野菜が40%くらいある。これを廃棄しないで商品にするために、カット野菜にしてスーパーに卸す(平成16年にカット野菜工場を建設)。スーパーはこれを天婦羅や惣菜にすぐに使える。カット野菜にする一手間で、棄てていた不揃いな野菜が商品になった。また、スーパー側にとってもカットする手間が省けるメリットがある。
・ 美味しい野菜を作るための土作りに力を入れている。土作りに必要な堆肥、活性水の製造を自分達で作っている。近隣の酪農家からの家畜の糞尿、冷凍野菜工場やカット野菜工場などから出る野菜残渣の堆肥化を効率よく行い、高品質な堆肥を製造している。
・ 大掛かりな冷凍機を導入し、カット野菜を冷凍食品にして売っている。冷凍食品にすることで、野菜を売れるシーズンを1年間にすることができた。
・ オーガニック野菜宅配のらでぃっしゅぼーやと取引を行う一方、野菜のインターネット販売にも力を入れている。
・ 海外でも、タイで農薬も化学肥料も使用せずに和郷園が栽培管理から関わったバナナを生産。名前を「OTENTOバナナ」として日本に輸入している。
・ 平成18年には、自らが野菜、果物を売る店「OTENTO」を田園調布に設立。
平成18年の生鮮野菜の売上高は15億円を超えているそうです。和郷園のメンバーが写真入で55戸紹介されているので、15億円を55戸で割ると1戸平均売上2000万円以上となっています。営業部隊専門の方もいるので、その負担を差し引く必要はありますが、それでも充分魅力的な売上となっています。
本来は農協がやるべき仕事のはずですが、金融事業に熱心な農協には、ここまで頑張っている組織はごく少数です。全国の農家は、折角の良いお手本があるので、農業組合法人と株式会社を作って、直ぐに真似すべきではないでしょうか。
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