2011年2月24日(木)

相続税改正 一般家庭も納税義務者に

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 現在予定されている相続税の改正ですが、これがこのまま法案が通ると、かなりの割合の方が相続税を支払うことになりそうです。 

 従来の相続税の基礎控除は、“5000万円+1000万円×法定相続人の数“。 我が家で言えば、父親が無くなって母親が残り、二人兄弟。これで母親が亡くなった場合は、相続人が2人ですので、今までの計算方法であれば ”5000万円+1000万円×2人=7000万円”が、相続資産額から控除されました。従って、不動産、金融資産等の合計が7000万円以下なら、相続税が掛からないことになります。 

 これが今の改正案では、基礎控除を “3000万円+600万円×法定相続人の数“ まで減額することを予定しています。5000万円→3000万円、1000万円→600万円と、今までの6掛けとなります。国税当局の言い分としては、20年前のバブルで高騰した地価に対応して基礎控除も年々上げたが、地価も年々下がって来ている。今回は、今までの地価下落に併せて、基礎控除も下げると言うことだそうです。本音は税収の落ち込みをカバーするために、取れるところから取るということでしょう。我が家の場合で言えば、3000万円+600万円×2人=4200万円が基礎控除となります。

 金融資産が少なくても、自宅不動産を無借金で所有していたとすると、それだけでかなりの評価になってしまいます。自宅の敷地が50坪(165㎡)で相続税路線価評価が300千円/㎡とすると、土地だけで4950万円の評価になります。自宅評価だけで基礎控除の4200万円を超えるので、相続税納税義務が発生してきます。

  一方、小規模宅地の評価減という制度もあります。240㎡(約72坪)までの自宅用敷地なら、評価を80%減額できるという制度です。上記で言えば、”4950万円×80%=3960万円” 減額できます。ただこの特例を使うにも、同居している子供が相続を受けなければならない、一度家の外に出て自宅を買ってしまったような子供は後から同居しても適用できないなど、改正後は運用が変わるようです。そうなると適用(減額)できない場合が多くなってしまいます(かなり痛い)。 

 税率は、基礎控除後の資産によって累進税率になっています。今回の改正では、6億円超の場合は55%になりますが、我々に関係のありそうな1億円以下の税率は下記の通りです。

・1000万円以下  税率10%(控除額0)

・1000万円~3000万円以下  税率15%(控除額50万円)

・3000万円~5000万円以下  税率20%(控除額200万円)

・5000万円~1億円以下  税率30%(控除額700万円)

 基礎控除後の相続資産が、

3000万円なら3000万円×15%-50万円=400万円の相続税。

5000万円なら、5000万円×20%-200万円=800万円  の相続税となります。

 資産をもらうので払えなくは無い金額ですが、今まで内はそんな資産がないから相続税は大丈夫と考えていた家庭でも、きちんとシミュレーションしておいた方が良さそうです。

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