2011年12月25日(日)
有田焼の陶祖・李参平
前回に続いて、有田焼のこと、特に有田焼の陶祖・李参平を勉強してみました。
李参平は朝鮮半島の忠清南道公州市反浦面出身の出身で、1592年(文禄元年)に日本に連れてこられました。最初に朝鮮半島から連れてこられた陶芸家は100人くらいで、その後何回か連れてこられとも言われています(有田駅のタクシー運転手さん情報で、今のところ正確な出典見つからず。全く自信が無い数字です)。
李参平は日本に来た当初、藩内の小城(おぎ)に住んでいましたが、磁器生産に適した白磁石を求めて鍋島領内各地を転々とし、とうとう1616年に有田東部の泉山で良質の白磁石の石場を発見しました(日本に連れてこられて、24年後)。観音山の麓で、赤松が群生する李参平の故郷にそっくりの場所だったそうです。李参平はここに天狗谷窯を開き、日本初の白磁器を焼いたのが有田焼の起源とされています。
肥前藩は有田焼を完成させた李参平を丁重に扱い、現在も陶山神社(すえやま、通称はとうざん)に有田焼の開祖として祀られています。陶山神社は焼き物師達の聖地であり、狛犬、鳥居が有田焼で作られており、その他至る所に焼き物が祀られています。
陶山神社本堂(祭神は応神天皇、藩祖・鍋島直茂、陶祖・李参平)
陶山神社の有田焼製の鳥居
陶山神社で飾られている陶器
李参平の日本名は金ヶ江(かねがえ)三兵衛で、その子孫第13代・金ヶ江義人さんは現在も陶山神社に月一度のお参りを欠かさないそうです。武士以外は名字を持たない日本において、朝鮮半島出身の陶工・李参平に名字を与えていたというのも、いかに高い待遇でもてなしたかが伝わってきます。
開祖・李参平窯のHP http://toso-lesanpei.com/index.html
有田焼は李参平が完成させた技法ですが、朝鮮半島から大勢の陶工が連れてこられそのまま日本に陶工として住み続けます。ですから今でも陶工の多くの方は、朝鮮半島にルーツを持つ方が大勢います。
追記1)1987年1月17日NHK放送の歴史ドキュメント「景徳鎮は伊万里でつくれ ~オランダ東インド会社の秘策~」があります。この番組案内によると“16~17世紀、ヨーロッパでは中国産磁器(チャイナ)が珍重された。中でも「芙蓉手(フヨウデ)」と呼ばれる絵皿は、その薄さとあざやかな文様によって特に高価に取り引きされた。ところがこの中に多数の日本産の製品がまじっていた。現在の総合商社に似た機能を持ったオランダ東インド会社の極東戦略の中で、はからずも世界の"イマリ"が誕生した背景をドキュメントする。」と書いてありました。伊万里誕生の陰に、総合商社の東インド会社の暗躍があったのです。
追記2)李参平たちの技術力が相当に高かったのかも良く分かっていません。当時の朝鮮半島でも中国の景徳鎮を模して、白磁器の技術力を高めていたというネット記事もあります。またウィキペディアには“李参平に関する伝承を文字通り信じるかどうかは別としても、この時期(17世紀初頭)、肥前国において日本の磁器生産が始まったということは定説となっている。”と書かれており、李参平が有田焼を最初に作ったと言うのは100%事実ではない的に書かれています。
追記3)焼き窯を壊した後の煉瓦を積み上げて作られる「どんばい塀」は、朝鮮半島の生まれ故郷の風景を懐かしんで作られたのでしょうか。
どんばい塀の風景①
どんばい塀の風景②
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