2013年1月14日(月)
バブル時代の経営者のその後(麻布自動車、荒井商店、秀和)
1990(平成2年)年秋口に崩壊したバブル経済。下がり出した当初は、三重野(当時の日銀総裁)が悪い、サダムフセイン(イラクがクェートに侵略開始)が悪いと、他人のせいにしていた不動産業界ですが、崩壊した価格は止まらず、ピークの5分の1、10分の1へと下落して行きました。当然、バブル時に絶頂を迎えていた土地長者企業も、借入金を返せず破綻に向かっていきます。そういう当時のバブル企業全部が消えてしまったわけではなく、社名を変え、世代を交代し、スポンサーを代え、力強く生き残っている会社も多々あります。
「麻布自動車」
麻布自動車の渡辺喜太郎氏は、まだまだ元気で、有料のメルマガを配信しているほどです。お嬢さんに会社を作らせ、そこに資産を上手く移転させたと噂されています。渡辺社長と懇意にしているのが、セコム最高顧問の飯田亮氏ですが、そこには飯田氏の色々なサポートがあったようです。渡辺氏と飯田氏は、クルーザーを借りてカジキマグロを釣る遊び昔からの遊び仲間で、ハワイでもずいぶん派手に遊んでいたと、不動産業の先輩の方から聞いたことがあります。
「荒井商店」
もう1社セコム飯田氏が助けた会社が荒井商店です。荒井商店自体は、セコムがM&Aをして100%子会社化していますが、創業者の荒井喜八郎会長はそのまま経営者として残し、指揮を取らせています。セコムグループの不動産事業を仕切っているのは、荒井会長だとも言われています。HPを見ても、事務所ビル系で21棟、賃貸レジデンスで7棟、病院で2棟を所有運営しています。
荒井商店には、モルガンスタンレーのノンリコースローンのファイナンス部門で有名人だった方も移っています。また、昨年も四谷の90億円前後の大型ビルも購入したりして、不動産業界内ではリート、ファンド以外の有力な買い手のの1社と言う位置付けがされています。
「堀内建設+朝日建物=セコムホームライフ」
セコムが最初に買収した不動産会社は、千駄ヶ谷本社の中堅マンションディベロッパーの堀内建設。「エクレール」ブランドのマンションを分譲していた不動産会社です。その後、朝日建物を買収。この堀内建設と朝日建物のマンション開発部隊を合体させて作った会社が、現在のセコムホームライフです。セコムの系列の損害保険会社セコム損害保険は、元々は東洋火災海上保険です。セコムはかなりM&Aで、周辺業務を拡大しているのが分かります。
朝日建物は長田高明氏が経営していた老舗のマンションディベロッパーで、長田高明氏のお兄さんが東京相和銀行(現・東京スター銀行)の天皇と呼ばれた長田庄一頭取です。東京相和は、他が貸さない飲み屋、ラブホテル、ソープランド等にもガンガン貸し付けていたやんちゃな銀行でした。もちろん、朝日建物とも深い仲でした。朝日建物は目黒に本社があり、マンション鑑定で有名な東京カンテイも元々は朝日建物の子会社でした。
「秀和」
バブル時代は、伊勢丹、忠実屋、いなげや等の派手な買収で有名になった秀和。その秀和を率いていたのが小林茂氏です(小林茂氏は、2011年4月に死去)。秀和は不良債権処理の一環で、2005年にモルガンスタンレーに買われ、所有していた著名ビル大半は売却させられました(麹町の秀和TBRビル、芝パークビル:通称軍艦ビル等)。
しかし管理会社としての機能は、RBM(レジデンス・ビルディング・マネジメント)に引き継がれ、その後は開発も行うディベロッパーとして復活しています。RBM社のHPには、“RBMは、主に分譲レジデンスの管理受託業務とオフィスビルの管理業務を行うことを目的に「レジデンス管理株式会社」として、平成2年3月26日に設立されました。その後、平成5年に秀和株式会社の分譲レジデンスの管理部門とビルディング管理部門の全業務を引き受け、ならびに両部門に所属していた300名近くの現場従業員がRBMの社員となりました。そして、従来の管理業務に加え、賃貸オフィスビル・賃貸レジデンスの事業を推進すべく、平成13年2月に、社名を「レジデンス・ビルディングマネジメント株式会社」と変更”と説明されています。
RBMのHP会社概要には、小林茂氏息子の小林たかじ氏の名前は経営陣には出てきません。但し不動産業界の古参の方に聞くと、RBMは小林さんの会社だと言う方は数人います。都心部に賃貸マンション一棟物を開発しては、レジ・リート、ファンドに売却して、業績は良好のようです。最近では日本橋で大型のビル開発用地も仕入れており、銀行からの与信もかなりあるようです。
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