2014年7月18日(金)

中国の統計に関する信頼性

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 三橋貴明氏の動画で、中国の統計に関する信頼性の無さを取り上げているものがありました。

・中国が出す統計は全く信憑性がない。中国人自身も信じていない。国内総生産(GDP)統計は各省(22省)、直轄市政府(北京、上海、重慶、天津)、5つの自治区など地方政府の出す合計額であるのに、地方の各省が発表したGDPを合計すると、中央政府発表の数字よりも数十兆円規模で大きくなってしまう。

・2013年のGDP成長率を1月20日に発表している。実質成長率で7・7%と発表しているが、こんなに早く統計をまとめることはできない。日本や米国だって、2か月くらい統計を発表するのに時間が掛かる。日本以上に人口が13億人を超える中国が、その統計を3週間でまとめられるはずがない。

・地方政府のデタラメな数字があり、こんなに短期間でGDPを発表できるということは初めからその数字があるからこそ。中国政府が今年は“7.5%”と決めれば、どんな統計があろうと今年は7.5%の成長率になる。だから中国政府発表の数字を信じても意味はない。

・地方政府の共産党幹部も自分の出世が掛かっているので、目標を下回るような成長率は発表できない。どうしてもかさ上げした数字を中央に提出する。中央政府も地方政府の数字を信用していないので、前もって公表予定の数字を発表する。

・2013年3月の台湾の「対中輸入」は、対前年同月比で1・2%の伸びだった。ところが、中国側の「対台輸出」は、前年同月比で45%も増えている。同じように2013年3月の香港の「対中輸入」は、対前年同月比で18%の減少だったのに、中国側の発表は+18%となっている。いくら中国が取り繕っても、相手国がある貿易ではその数字は簡単にインチキがばれてしまう。 

 平成26年7月16日に日本経済新聞が、「中国の2014年第2四半期経済成長率は7.5%と前の期を0.1%上回った。3期ぶりに対前年比を上回り、景気の減速に歯止めがかかった」と夕刊の一面トップで報じていました。今回も2014年6月末に締めて、2週間ちょっとで発表してしまう凄技です。面白いのは、政府発表に遅れて上海政府が平成26年7月18日に第2四半期の経済成長率を発表していました。普通に考えれば、地方政府が発表してから最後に中央政府の数字が出てくるのが常道です。

 そこまで信用できない数字だと、日経もきちんと注釈を付けて発表しないといけないのではないでしょうか。毎回数字の後に、”?” を付けるとか..。

 不動産価格(分譲マンション価格)の発表数字も信じられるものではありません。温州や杭州で新築分譲マンションが大量に売れ残り、2割、3割引きで売られているとのニュースがある中で、同地区では1%弱の下落としか発表されていません。

 李克強(リ・クアチャン)首相が、遼寧省トップの時に鉄道貨物輸送量、電気使用量、銀行融資額しか信じられないと語ったのも無理はないでしょう。この3つの統計が現在「李克強指数」と呼ばれています。

 ちなみに、2014年5月の「李克強指数」は中国海通証券の計算によると、2013年10月に10.6ポイントとピークになり、その後2013年11月以降、今年3月まで5カ月連続で低下。2014年3月の指数は5.1ポイント、4月が5.3ポイント。5月が4.0ポイントとなり、今年に入って最低の水準を記録したと発表されています。

 GDPも不動産変動率も、中国発の統計の発表はすべて大本営発表と考えておけば間違いがないのでしょう。

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