2015年3月27日(金)

外国人観光客 各地で盛況

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

大阪在住のビルメンテナンス会社社長さんから、最近の外国人観光客の活況振りを聞かせてもらいました。

・春節の期間もそうだったが、アジア人の観光客が大阪に相当に来ている。道頓堀の商店街でも、かに道楽の辺りは混雑していて歩けないくらい。元々大阪はホテルの数がそれほどあるわけでは無いので、ホテルはどこも満員状態が続いている。

・春秋航空などのLCCが関空に多数就航している影響も大きい。アジアから旅行客が押し寄せている。以前はゴールデンコースで、大阪から京都、富士山、東京へと流れていたが、最近は関西だけで2泊3日で帰っていく旅行者も多い。USJは定番に入っているので、いつも混んでいる。

・アジアの旅行会社もホテルが満室なので、自分たちのホテルを土地から買って作ろうとしているという噂も聞く。土地代の高いところではなく、鶴橋辺り(リトルソウルみたいな場所)の土地代の安いところを物色しているようだ。

・そんな中で上手に商売をしているのが、ドラッグストアのスギ薬局。夜10時からは外国人観光客専門で店を開け、薬や化粧品、雑貨を売りまくっている。心斎橋や道頓堀を観光する観光客が大勢やってきている。大量の薬を買って、本国に帰ってから転売して稼いでいる旅行者も多いらしい。

スギ薬局のやり方は、見習うべきものがあります。夜中化粧品を買う人も少ないアイドルタイムを利用して、外国人相手に特化する。免税手続きの手間を考えれば、夜間に集中して外国人観光客に買いに来てもらった方が便利この上ないでしょう。

一方、東京の銀座晴海通りのマツキヨはそんなに外国人観光客で混んでいません。大阪とは違うのかなと思ってJR有楽町駅方面に行くと、銀座イトシアの1階にマツキヨができていました。そこには大きく「TaxFree」の文字が!結構、中国人らしき人たちも大勢います。

店の前にはっぴを着た呼び込みの人がいるので、「結構、外国人のお客さんが来ているんですね。」と声を掛けました。「そうみたいですね、内にも結構来てますけど」と他人事のような答え。そう、彼はマツキヨの定員さんではなく、隣のパチンコ店ピーアークの店員さんだったのです。

「でも、パチンコを初めてやるの結構難しいじゃないですか。外国の方ができるんですか?」と聞くと、「そうなんです。やり方が分からないので、手とり足とり教えながら遊んでもらっています。」との答え。最近は閑散としたパチンコホールが増えていますが、比較的簡単な台を置いて外国人観光客に大勢来てもらう戦略はありそうです。

雑誌ウェッジの記事に、大阪ミナミの台所・黒門市場が、アジア人観光客で活況を呈していると言う記事が出ていました。外国人観光客に黒門市場のことを知ってもらおうと、大阪市内のホテルに外国語表記のパンフレットを置かしてもらい、知名度向上に努めたのが3年前くらいだそうです。

最初は「外人が来てほんま大丈夫かいな?」という批判的意見もあったようですが、次々外国人が訪れるようになると、そこは大阪人、続々とアイデアを出して商売を競っているというのです。マグロの柵をその場で包丁で切って刺身にしてくれる。ふぐのテッサシ(薄造り)を食べさせる。和牛のステーキがその場で食べられる。熱々のおでんが食べられる。季節のいちごや、りんご、梨などのフルーツ類も買ってその場で食べられる。新鮮な食材を市場だからリーズナブルな価格で、自分が好きな物を味わえるのです。

外国人同士の口コミが評判が評判を呼び、大阪に宿泊するアジア人観光客は、敢えてホテルの朝食は食べないでお腹が空いたまま黒門市場に向かうのだそうです。ミナミの黒門市場で美味しいものを食べるのが、旅行の大きな目的になっています。

黒門市場では、2013年からトイレやゴミ箱が併設された無料休憩所を設置して、買った食材を自由に食べられるようにしたり、無料のWI-FIでフェイスブックですぐに紹介もできるようになっています。

所変わって青森県弘前でも、リンゴを食べる目的で大勢の台湾人、中国人が観光に来るようになったと言っていました。青森産のリンゴは輸出されれば高級品となり、1個1000円、1500円で売られているからです。それが1個200円で食べられれば、えらい得した気分になります。

外国人観光客相手の商売は、今後益々活況を呈しそうです。

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