2015年5月15日(金)
ジョイフル三ノ輪商店街は宝の山
日比谷線三ノ輪駅から日光街道を北へ200mほど歩くと、チンチン電車の都電荒川線三ノ輪停留所に着きます。大正時代以降、都内中心部を縦横に走っていた市電(当時は東京市)。これが昭和40年代以降に次々と廃止され、唯一残った路線が荒川線です。
この都電・三ノ輪停留所近くにあるアーケードの商店街が「ジョイフル三ノ輪」です。以前は「南千住銀座」と呼ばれていました。東京でも40年前は色々なところで見られた下町漂う商店街ですが、現在ではこういう商店街は絶滅危惧種的存在。10年くらい前に来た時はもっと買い物客が大勢いて活気もあったのですが、先日、土曜日午後に行った時は人通りはまばらになっていました。
三ノ輪駅から南千住駅方面の通称「山谷(さんや)」の簡易ホテル(昔で言う木賃宿、朝飯が出ない低価格旅館)に外国人観光客も訪れるようになり、少しづつ変化の兆しもあります。一方、ジョイフル三ノ輪界隈はごちゃっと建て込んだ昔ながらの下町風情は残るものの、シャッターを下ろした商店も多く活気は感じられません(山谷ドヤ街のいろは通り商店街も似たようなものですが)。
しかし、物は考えようです。この昭和レトロ感たっぷりのアーケード商店街は、今となっては稀少な存在です。大阪ミナミの黒門市場に大勢のアジア人観光客がやってきて、巨大フードコートとして賑わっているのを見ると、ここジョイフル三ノ輪でも同じ戦略が有効ではと思えてきます。ジョイフル三ノ輪商店街も、外国人観光客がレトロ東京を体験できる飲食テーマパークとして売り出せるのではないか。
外国人観光客目線で見てみると、ジョイフル三ノ輪商店街には面白い題材が沢山あります。
・とりふじの惣菜屋。焼鳥、から揚げ、コロッケ、トンカツ、煮物が庶民価格で安い。
・お惣菜の店 菊。普通の天ぷらに交じって、紅ショウガの天ぷらを1つ80円で売る天ぷら店。
・パンのオオムラ。ハムカツパン、コロッケパン、カツパン、クリームパンなどを売るレトロなパン屋。
・3店もある餃子屋。生餃子を売っているが、焼いた餃子をカウンターで食べられるお店もある。もちろんビールも飲める。
・銭湯「大勝湯」。460円で温泉気分が味わえる。朝の10時半から開いている。
・日本そばの砂場。砂場の暖簾分けのお店なのでレベルは期待できそう。
・普通の魚屋。刺身パック、焼き魚を多数売っている。
・普通の中華料理店。日本人が食べる中華料理が味わえる。
・和菓子を食べられる甘味処。
この近所に外国人観光客用のホテル、バックパッカー用のゲストハウスがあれば、旅行者は泊まったついでに、地元民が食べている食事を味わうことができます。朝はパン屋でハムカツパン、焼きそばパンを食べ、夜は餃子、焼鳥、刺身を食べたり。池袋、新宿、渋谷の都心部に行ってどこで食事をして良いか戸惑うより、フレンドリーな下町で一通りの日本人が食べる普段の食事を味わう。こういう日本食の楽しみ方もあるはずです。何よりここには大阪のおばちゃんに通じる、下町のおばちゃんパワーがあります(主観ですが)。
商店街には空き店舗になっている店も結構あるので、ここを食事持ち込み自由なイートインコーナーにすれば、観光客も遠慮なく商店街で惣菜を買って食べることができます。イートインコーナーで日本酒、ビール、ワインを売れば、簡易居酒屋の完成です。外国人が集まるようになれば、それに惹かれて日本人の若者も集まるようになるのでは。
そして確かな変化の兆しを見つけました。商店街の外れ辺りに建物の建築計画が出ていました。その建物用途は、 “ゲストハウス” 。そうか、気付いている人は気付いていたんだ。ジョイフル三ノ輪商店街にバックパッカー用のゲストハウスを建てるのか!
今以上にホテルが足りなくなることが必至の東京。三ノ輪界隈にホテル、ゲストハウスが相次いで開業し、外国人観光客をターゲットに商店街が生まれ変わる。もしかすると2020年にはそうなっているかも知れません。
追記 平成27年5月15日・日経新聞夕刊に葛飾区立石の商店街が、外国人観光客向けに英語の観光案内パンフレットを作ったと出ていました。立石も昭和レトロの代表的存在の商店街です。その立石にも外国人を呼ぼうと言う動きがあったのですね。
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