2015年8月24日(月)

釧路で長期滞在

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 8月23日8時25分放送のNHK「サキどり」で、釧路でひと夏過ごす長期滞在の話を取り上げていました。

・釧路市役所に掛かってきた1本の電話がキッカケだった。「天気予報を見ていたけど、なんで釧路だけあんなに気温が低いのだ。温度計が壊れているのではないか?」これに対して、市の広報担当者は「釧路は本当に夏でも気温が低いんです」。「そうか、そんなに気温が低いんなら長期で住んでみるか」と電話の主。釧路の月毎の最高気温は7月19度、8月21度、9月19度と東京に比べ10度以上低い。札幌に比べても4度くらい低い。

・これをヒントに釧路に長期滞在の観光客を呼ぼうと言う動きになった。今までは夏でも寒いとマイナスイメージでしか地元民も考えていなかったが、これを過ごしやすい気温として考えてみよう。夏も気温が上がらないではなく、「涼しい夏」とプラスでとらえる。

・釧路市は1984年は人口が約23万人いたのが、年々減少し現在は約17万人。家も余っており現在1万5000戸も空き住戸がある。これを長期滞在できるように、冷蔵庫、食器棚、ベッドなどをセットし、マンスリーマンションとして利用できるようにした。家族で過ごせて1か月の利用料は10万円とし低額で済むようにした。

・この取り組みによりリタイア層、高齢者がひと夏過ごす需要が生まれている。滞在者は徐々に増え、昨年は300人になった。釧路にはこれと言った観光名所もないが、長期滞在者は刺繍サークル、ダンスサークルなど地元の人と一緒に楽しんでいる。地元漁師と仲良くなり、毎朝4時に一緒に船に乗って、昆布取りをしている茨城県の男性もいる。採れた昆布を分けてもらい、天日干しして親戚一同に送っている。一度釧路で夏を過ごして気に入り、次の夏も長期で住む人も多い。最初は観光客だったのが、釧路で過ごすうちに第二の故郷になっていく。 

 釧路には一昨年10月に仕事で行ったことがあります。出張前に知人から「釧路は日本一失業率が高い街なんだ。夏は正社員で働いて、冬場になると会社が解雇する。そうすると冬場は働かなくても失業保険でお金がもらえるし、会社も給料を出さないで済む。でも、寒さが厳しいし、漁業も良くないから生活は大変なんだよね」と聞いていました。

 その時は仕事が終わった3時くらいから慌ただしく観光地を見て回りました。テレビで何度か見たこともある釧路港そばの「フィシャーマンズワーフ」にまず行きました。でも乾物と冷凍物魚介類ばっかり売っている土産物屋と観光客向けの食堂があるだけで、ありがちな公共工事でできた建物という趣き、ちっとも面白くない施設でした。他もさほど目を引く施設はありませんでした。

 帰り掛けにもう1か所だけ立ち寄ったのが、釧路駅近くにある「釧路和商市場」。ここは、札幌の中央市場や二条市場の観光市場とは全く違う本物の魚市場でした。観光客ではない地元民が大勢買い物をしています。

 置いてある魚が新鮮獲れたてで、価格も滅茶苦茶安い。札幌で1万5000円くらいで売っている大きな花咲カニが、6000円くらいで買えます。毛ガニも安い。巨大なツブ貝も1個200円くらいで売っています。ホタテ、ほっけ、鮭、鱈も新鮮で安い!このまま帰らず市場内で魚をつまみに日本酒をぐびぐびできれば、私のワンダーランドです。

 サキどりのテレビには釧路和商市場に行って、刺身盛り合わせを買っている男性が映っていました。ボタンエビ2匹にヒラメなどの白身系の刺身が5、6種類、持参した皿に盛ってくれます。これで価格が850円!きっと冬場になれば厚岸の牡蠣、ホタテ、北寄貝もたらふく食べられるのでしょう。

 釧路の長期滞在、これは充分ありの世界です。1万5000室の空き住戸も使いようによって立派なストックになります。ただ貧乏性の私には1か月はちょっと長い。1週間滞在で3、4万円の部屋が借りられるのであれば、是非行ってみたい。問題は札幌と違って、足代(航空代)が少々高いことです。

追記 釧路和商市場のHPからの抜粋: 昭和24年頃、鮮魚をリヤカーに積んで売り歩く行商人が、幣舞橋たもとに露天を構えました。この露天を目当てに列車で買いに来る客のために、釧路駅前で仲卸をはじめました。昭和31年には店舗を持たない露天業者が取り締まりの対象となり、和商はバラック店舗を建てて店構えの基礎を固め、約60店舗が肩を寄せ合い、今日にいたっています。

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