2010年8月24日(火)
有名設計事務所と設計業務
不得手の建築関係の原稿が止まっていたのを、何時も貴重なアドバイスを頂ける五洋建設東京支店山田茂樹部長に無理をお願いし、監修加筆して頂きました。不動産業界コラム第4章建築構造編に、6話分UPしましたのでご一読頂ければ幸いです。ご参考に、その中の一話の「有名設計事務所と設計業務」をブログ欄でも入れさせて頂きます。
大手ゼネコンと言えば、鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店の大手5社ですが、設計事務所での有名どころでは下記が挙げられます。
・㈱日建設計
東京都千代田区飯田橋 創業1950年 社員数約1,500人。国内では、大阪、名古屋、福岡、仙台に事業所を持ち、海外でも上海、大連、台北、ドバイ、ハノイ、ホーチミン、ソウルに事業所を持つ、日本を代表する設計事務所。住友系。
・㈱三菱地所設計
東京都千代田区丸の内 創業1893年 社員数約500人。三菱地所の設計だけではなく、他社の設計・監理を数多く手掛ける。事務所ビル部門では数多くの実績から信頼性が高い。
・㈱日本設計
東京都新宿区西新宿 創業1967年 社員数約720人。国内では、大阪、名古屋、福岡、札幌に支社を持ち、海外では上海、ドバイ、ハノイに事業所を持つ。山下設計から分かれで、興和不動産が元々の母体。
・㈱久米設計
東京都江東区潮見 創業1932年 社員数約530人。久米権九郎が設立。代表作品、日光金谷ホテル、軽井沢万平ホテル。
・㈱山下設計
東京都中央区日本橋小網町 創業1928年 社員数約440人。山下寿郎が設立。代表作品、霞が関ビル、帝国ホテルインペリアルタワー。
・㈱梓設計
東京都品川区東品川 創業1946年 社員数約360人。
・㈱石本建築事務所
東京都千代田区九段南 創業1927年 社員数約300人。石本喜久治が設立。代表作品、旧朝日新聞社本社。
・㈱安井建築設計事務所
大阪市中央区島町 創業1924年 社員数約300人。安井武雄が設立。代表作品、大阪倶楽部、大阪ガスビル、野村証券本社ビル。
・㈱松田平田設計
東京都港区元赤坂 創業1931年 社員数約350人。
上記設計事務所は、設計が本業ですが、大手ゼネコンでも設計部門は強化され、近年はゼネコンの設計施工案件が増加しています。
設計業務は、大まかには意匠(デザイン)、基本設計、実施設計、構造設計、設備設計に分類されますが、中堅以下の設計事務所だと構造設計、設備設計の専門家を抱えておらず、これら業務は外注することが一般的です。
基本設計は計画段階での基本的な内容確認や概算において作成され、その後、確認申請に向けて、より詳細な実施設計を行って行きます。検討したい土地、敷地に於いてどれ程の床面積が確保出来るか、大まかな概算を行う為に作成する図面を俗に「ボリューム出し図面」と呼ぶ事もありますが、これは基本設計の更に前段階のレベルと言えます。
上記の大手の設計事務所は一般に「組織系建築設計事務所」と呼ばれ、全ての設計業務を全国的な規模で行う事が出来、また工事の監理も行えます。一方、著名な建築士をメインにした事務所は「アトリエ系建築事務所」と呼ばれ、それぞれの建築家の個性が色濃く反映されるのが特徴ですが、現在では明確にその区分がなされていないようです。
個々の設計事務所においては、それぞれの得意分野の建物種類や(病院、高層事務所、商業、学校、倉庫、工場等)、或いは、得意としている発注者(官庁工事、民間工事)がある等の特徴があります。
設計・監理業務を設計事務所に発注した場合の報酬費は、建物種類、建物規模、施工期間により異なりますが、一般的には設計費は工事費の8-10%程度と言われます。内訳は基本設計と実施設計で4-6%程度、監理で4%程度でしょうか。当然ながら規模が小さくなれば、この比率は高く、大規模建築物になるほど6%を下回るケースも出てくるでしょう。最近では工事量の減少に伴い、競争も厳しく設計報酬費の比率も好景気に比較して大幅に低下しているのが現状でしょう。
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