2010年9月1日(水)

ファイナンス競争も復活

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 優良収益物件は投資マインドが相当戻って来ているんですよねと、某アセットマネジメント会社の方と話していたら、ノンリコース・ローンの融資も活発化していると教えてもらいました。

・メガバンク、信託銀行ともノンリコース・ローンで、LTV(Loan To Value:物件価値に対する融資の掛け目)で、60%までなら競争して貸す状態になっている。Rate(融資利率)はスプレッド2%弱。但し、アモチ(Amortization:元本償還)は年利1%くらいは必ず付けさせられる。

・外資系でファイナンスを再開したところはほとんどないが、GEだけは積極的に営業に来ている。LTV70%~75%まで出すと言っている。但し、その分スプレッドは3%くらいを言っている。

・このようにシニアローン(1番の債権)の出し手は、かなり競争になっている。但し、メザニンローン(シニアローンに劣後するローン、まあ2番抵当権という感じ)の融資を再開したというファイナンス会社は聞いていない。

 現在の収益ビルの主な投資家は、J-REIT、外資国策ファンドなどの借入比率が低くて良いプレーヤーが主流ですので、LTV60%も出ればまあ充分です。貸し手としても現在の市場価格に対して60%の融資なら、痛い目には合わないという判断なのでしょう。1年前に比べてファイナンス状況が格段に良くなっているのは、間違いないようです。

注1)融資利率は、通常ライボ(LIBOR:London InterBank Offered Rate、ロンドン市場での銀行間取引利率)、タイボ(TIBOR:Tokyo InterBank Offered Rate、東京市場での銀行間取引利率)をベースに、上乗せ金利(スプレッド)を載せて構成される。

注2)お金を借りると、利息の返済だけでなく元本部分の返済も当然ある。この元本部分の返済が、アモチになる。ファンドとしては、アモチが無いか、もしくは少ない方がIRR(内部収益率)の計算上良くなるので、少ないアモチを望む。

注3)J-REIT、国策ファンド等はハイ・レバレッジ(70%以上の高い融資比率)は使わず、概ね50%前後の融資比率で投資している。

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