2010年9月13日(月)
連帯保証人の責任
8月に宅建主任者の法定講習会を受けた折、参考になったのが賃貸借契約の保証人の責任についてです。個人が住宅を借りる場合、通常は親族等の連帯保証が求められます(保証会社による保証も増えていますが)。初回の賃貸借契約を結ぶときには、両親や兄弟が実印で印鑑証明書を添付して保証人になります。
講習会の事案(裁判事例)は下記のようなものでした。
「弟が住宅の借主で、兄が賃貸借契約の連帯保証人になった。弟が不払いを続けた結果、数回の契約更新を挟みながら契約解除され、退去させられてしまった。ちなみに溜めまくった未払い賃料は853万円。兄は、初回の契約時には連帯保証人に署名捺印しているが、その後の更新時には署名捺印をしていなかった。」
このような内容で裁判になり、第1審は、保証人は責任無しとしました。第2審は逆に保証人の責任を認めました。そして最高裁まで争われ、最高裁でも第2審と同様保証人の責任を認めました(最高裁・判決平成9.11.13)。
問題になったのは、最初の契約時には確かに保証人として署名捺印をしているのですが、その後の更新時には署名捺印していないということです。これに対し、最高裁は賃貸借契約は継続的なもので、一度締結されればずっと継続するのは予見可能である。従って契約時に保証人になっていれば、ずっとこの責任が続くと思うのが当然である、と認定したのです。
貸主、不動産業者としては誠に心強い有難い判例です。有名な判例なので、覚えておいたほうが良いとの講師の弁護士さんの説明でした。不動産業者としては、契約更新時には改めて毎回保証人の署名捺印を取るのがベストです。ただこれがなかなかできないので、最初の賃貸借契約時に保証人の責任は最後に解約されるまでずっと続くと説明しておくこと。更新時に電話や手紙で保証人に知らせること。こうしておくだけで、後々揉める可能性は相当に少なくなるとの説明でした。
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