2010年9月24日(金)

破綻不動産会社のその後は

都市鑑定アドバイザリー(株) 不動産鑑定士 田中祥司

 平成20年初頭から平成21年末までの2年間は、不動産会社の倒産ラッシュでした。特に上場した新興企業が目立ちました。多くが企業再生を目指す“民事再生法”を申請していますが、その後はどうなっているのでしょうか。

・大和地所がスポンサー

 ダイア建設には平成21年7月15日、日本綜合地所には平成21年12月24日と非上場の大和地所が相次いでスポンサーになりました。横浜が地元の会社で、大型マンション開発もいくつか手掛けています。沖縄ではオリックス、ゼファー等とリゾートホテルを開発したりしています。横浜山下町の金色ミラーガラスの本社ビルは、10年くらい前の沈んでいる時代に競売で取得したと聞いています。

・ジェイ・ウィル・パートナーズがスポンサー

 モリモトには単独で、穴吹工務店には大京(実質オリックス)と共同で実質スポンサーになったとされています。ただ、ジェイ社が出資している資金は、さほど多くはないとのこと。

・ジョイント・コーポレーション

 平成21年11月2日㈱レノがスポンサーに決定となっています。レノは村上ファンドの人たちが作った不動産会社で、以前雑誌のアエラにレノの三浦女史の記事が出ていました。

 ジョイントリートのAM会社の方は、積水ハウスとスプリング・インベストメント(旧バブコック&ブラウン・ジャパン)が70%、30%の比率でM&Aし、「積水ハウス・SI アセットマネジメント」と社名変更しています。積水ハウスは、自社開発の賃貸マンションをこのリートに今後組み入れるのでしょう。

・ランドコム

 平成21年2月25日に非上場のハウスセゾン㈱(京都本社、資本金9700万円)がスポンサーになっています。

・いちごアセット・トラストがスポンサー

 クリードのリート会社ですが、株を全て「いちごアセット・トラスト」に譲渡し、「ジャパン・オフィス・アドバイザーズ」へと社名変更しています。親会社のいちごアセットマネジメントは、日本株投資に特化した独立系の投資顧問会社です。代表取締役のスコット・キャメロン氏は、1964年生まれで、バンカーストラスト、モルガンスタンレー等を経て平成18年4月に同社を立ち上げています。日本で生まれ育っているので、日本語、日本文化にも精通しているとのこと。ちなみに“いちご”の由来は“苺”ではなく、“一期一会”から取ったものです。

 東証1部のアセットマネージャーズ(法的整理はしていません)に対しても、CB(転換社債)転換で平成22年2月にいちごアセット・トラストが支配株主となりました。そして、平成22年9月に「いちごグループ・ホールディングス」へと社名変更しています。

・ニチモ

 マンションディベロッパー老舗のニチモは、当初「日建」と言う会社がスポンサーになり、その後ワールドインテックと言う北九州の人材派遣の会社がスポンサーになりました。ワールドインテックは、伊井田栄吉氏(1956年生、京都市出身)が率いる「みくに産業」グループの1社で、グループとしては不動産業も行っています。東京圏でマンション事業を展開したいということで、同社を購入したと言うことです。

・都市デザインシステム

 コーポラティブマンションとして最多の実績のある会社ですが、ここにはコクヨグループのコクヨファニチャー㈱がスポンサーになりました。リクルートコスモス出身の梶原文生社長は、そのまま残って実務を仕切っています。

 現在京都で、延床面積3,091㎡の事務所ビルをホテルにコンバージョンする事業を、代々木ゼミナールと共同で仕掛けています。平成22年10月「ホテルカンラ京都」として開業予定。地方都市は事務所ビルが空室の嵐ですので、この事業が成功するのであれば、同社には大きな前進になるはずです。

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