2011年1月17日(月)
沖縄泡盛の秘密
沖縄に行けば、ビールはオリオンビール、酒は泡盛、これが定番コースです。オリオンビールは、沖縄県内ビール消費量55%のシェアを持つ有力企業です。本土のアサヒビールと結びつきが強く、アサヒが大株主になっています。関連会社に、オリオン嵐山ゴルフ倶楽部(本部半島の北側の今帰仁村:なきじんそん)も所有する大企業。これに比べて泡盛は、ガリバー企業が存在せず、沖縄本島、八重山、宮古島、久米島などに中小46社の製造者がいます。
沖縄の泡盛の原料は何でしょうか?答えは、“米”で、それもタイ産の長いお米の“長粒米(ちょうりゅうまい)”です。何故、日本のお米“ジャポニカ米”ではなく、長粒米なのか?沖縄県酒造連合組合会のHPhttp://www.okinawa-awamori.or.jp/index.php「泡盛百貨」によると
・ 琉球王朝時代は、首里近辺で取れる米、粟(あわ)が王府から支給されて作られていた。
・ 明治以降は、中国、韓国の米が輸入され始めた。その後中国の唐米の価格が高くなったので、ベトナムやミャンマー、台湾など、アジア各地の米が輸入されて、泡盛の原料となった。
・ タイ米は大正の末期に輸入され始め、昭和の時代に泡盛の原料として定着した。硬質米のためさらさらしていて、米麹(黒麹菌を混ぜて糖化する行程)にしたときに作業がしやすい、水や酵母を加えてアルコール発酵させるときの温度管理がしやすい、当時使っていた他の米に比べ、アルコールの収穫量が多い、などがタイ米になった理由。
その他の泡盛の大きな特徴は、下記の通りです。
・黒麹菌を用いる。
・仕込みは1回だけの全麹仕込みである
・単式蒸留機で蒸留する。
ちょっとツンとした感じが、お米で造る熊本県の球磨焼酎と似ていなくもありません。数年前、地元ゼネコン幹部の方との酒席で、泡盛の話になりました。
「我々の若い時は、泡盛なんて不味くて飲めませんでした。」
「えっ?では、何を飲んでいたんです?」
「スコッチやバーボンウィスキーが多かったです。沖縄は洋酒の税率も安かったので、本土で高級だった洋酒が安く飲めました。その頃の泡盛は製造も悪く、油が浮いたみたいで飲みづらかったですから。最近のはスッキリしていて美味しいので、今はもっぱら泡盛です。」
この泡盛を長く寝かせておくと、古酒(クース)として珍重されます。3年以上熟成させた泡盛が、全量の50%を超えていれば「古酒」と表記できます。一般家庭でも、子供が結婚した、子供・孫が生まれた等の目出度い事があると、大きなカメに泡盛を入れて、クースにする風習があります。
このクースでも沖縄らしい話を地元の方から聞きました。6年物と10年物をブレンドすると何年物になるか、と聞かれました(折角のクースを混ぜちゃって良いのかと思いますが)。まさか“(6+10)÷2の8年“では無いよなと思っていたところ、地元の方は「6年と10年を混ぜれば、そりゃ8年物さ」と言うのです。何か釈然としませんが、それがクースの表示とのこと。うーん、ていげいだな~。
追記1)“ていげい“とは、沖縄の言葉で”いい加減な“という意味。悪い意味ではなく、細かいことは気にしないという感じで使われます。
追記2)泡盛百貨のHPでは、年数の違うクースをブレンドすると、若い方の年数を表記しなければならないと書いてありました。正式にはこれが正しいのでしょうけど、地元の方はそう思っていないようです。
追記3)沖縄の酒税は、本土返還以降何かと優遇されています。ビールで言えば、県内出荷に関しては、20%分少ない酒税になっています(減税額で14億円)。オリオンビールの経常利益が大体これくらいと言われていますので、減税が無くなるとその分値上げしない限り、オリオンビールの利益が無くなることになります。泡盛の場合は、県内出荷に関しては、35%少ない酒税になっています。もう沖縄だけ優遇はしないと言われながら、基地問題で揉めるたびに、優遇措置が更新され続けています。
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