2011年4月25日(月)
2.3憶人の親日国家、インドネシア
大前研一氏の著書「お金の流れが変わった!:PHP新書」の中で、BRICsに続く国としてVITAMINを提唱しています。元々はVISTA(ヴェトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)でしたが、これにタイ、メキシコ、イラン、イラク、ナイジェリアを加えた国々です。世界中に溢れている膨大なマネーが、旧来の先進国(米国、EU、日本)などでは成長が見込めないとして、新興国に資金が流れ込んでいる。短期志向のヘッジファンドの資金だけでなく、年金や信託などの長期投資がこれら新興国に流れ、それが経済成長に繋がっているというのです。VITAMINの中で、日本にとっての投資の有望先として、インドネシアを挙げていました。
インドネシア人に好きな国はどこかというアンケートを取ると、75%が日本を挙げるそうです。2位がアメリカの30%で、大きく引き離しています。何故そんなにインドネシアが日本に好意を持ってくれるのか?それは、第2次大戦前後のインドネシアの独立運動に深く関わっています。
16世紀くらいからポルトガル、イギリス、オランダ等が香辛料を求めて、インドネシアに来航するようになり、1800年頃からオランダの植民地になってしまいます。第1次世界大戦後の1920年頃からオランダに対する抵抗運動が始まり、1942年の日本軍の侵攻により、ようやくオランダの植民地支配が終わります。日本はオランダの植民地を終わらせるためでなく、自国の利益のために侵攻したのでしょうが、絶好のタイミングでオランダを追い出しました。
戦後オランダが再び植民地にしようと弾圧を再開します。これに対して、インドネシア人も激しく武力抵抗し、1949年12月のハーグ円卓会議でオランダからの独立を勝ち取ります。独立までの間、インドネシアには日本軍人が2000人残っており、インドネシア人と一緒に戦かったそうです(半数の軍人は戦闘で命を落とした)。自分たちの国の独立を勝ち取るために、一緒に戦ってくれた日本人。独立後もODAを通じて多額の資金援助を行ったのも日本。これが、インドネシアが日本好きな国NO.1に挙げてくれる理由です。
独立後、スカルノ大統領(1949年~1968年の約20年間)、スハルト大統領(1968年~1998年の30年間、アジア通貨危機で退陣)の長期政権が続きました。その後、ハビビ・ワヒド、メガワティを経て、2009年からスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領が治めています。このユドヨノ大統領の統治が優れており、近年急速に経済発展を遂げています。
それでは、インドネシアって一体どんな国なのでしょうか。
・面積:191万k㎡。日本の約5倍の広さ。17,000の島々。日本は約6,800なので島の数は約3倍。
・人口:2.3億人(日本の約2倍)。中国、インド、米国に次ぐ世界第4位の人口。
・人口密度:国土の7%のジャワ島(日本の1/3の大きさの13万k㎡)に、日本とほぼ同じ人口の人が暮らす。首都のジャカルタは、664k㎡(東京都の1/3)で人口960万人。ジャワ島の人口密度は1055人/k㎡で日本の3倍。ジャカルタの人口密度は、14,440人/k㎡で東京の2.6倍。
・宗教:イスラム教徒(ムスリム)が2.0億人を占める。イスラム国家の中では世界最大の人口。
・日本企業の進出数は約1,000社。
・経済成長率:2007年6.3%。2008年6.1%。2009年4.5%。2010年6.0%。アセアンではヴェトナムに次いで第2位。
・GDP:2009年度で5393億ドル(48兆円)、日本の約10%。
・一人当たりGDP:3005ドル(約25万円)。10年で4倍以上に増大している。
・天然資源:鉱物(すず、ニッケル)、石炭、石油、天然ガス、天然ゴム、パーム油(バイオディーゼルの原料となる)。
・法人税:30%から段階的に下がり、現在25%。
日系企業1000社のうち、認知度が高い企業は下記のような会社があります。
・バイクの年間販売台数:約600万台。ホンダとヤマハが二分し、日系企業が独占。
・自動車のシェア:トヨタ、ダイハツが90%以上を占める。
・パナソニック:家電製品は日本製品の人気が高い。
・大塚製薬:ポカリスエットが人気。特にイスラム教のラマダン明けにポカリスエットを飲む習慣が定着している。
・フマキラー:蚊取り線香で高いシェアを誇る。
・マンダム:男性用整髪料をボトル売りではなく、少量を小分けにして売っている。
・味の素:旨味調味料。以前、イスラム教徒が食べてはいけないとされる食品成分が入っているとされ大騒ぎになった。その後その噂を払拭し、業績は躍進。過去5年で毎年2桁の成長を続けており、5年で売上高は倍増。
・ユニチャーム:赤ちゃんのおむつ、女性用生理用品。大人用おむつも今後の有力商品。
これ以外に、不動産・建設業界で大いに参考になるのが、ゼネコンの鹿島の「スナヤン・トリカルヤ・スンパナ(STS)」プロジェクトです。これは鹿島とインドネシア政府の合弁会社により、1996年から進められたプロジェクトで、2013年頃全体が完成予定です。ショッピングセンター、複合レジャー施設、ホテル、アパート4棟、オフィスビル3棟、総事業費500億円超となっています。
スナヤンは、ジャカルタの高級住宅街に隣接した地区で、アジア大会を行った政府所有地を鹿島が40年間の借地で借りました。そして下記の施設を鹿島が作り、施設から上がる賃料を鹿島が受け取る仕組みです。当社は相当に苦労したようですが、インドネシアの経済成長にぶつかり、現在では大成功を治めたプロジェクトとなっています。
1)ショッピングセンター「プラザ・スナヤン」1996年オープン
2)オフィスビル「セントラル・スナヤン(18階)」1997年オープン
3)アパートメント「プラザ・スナヤン(24階、28階)」1998年オープン
4)複合レジャー施設「プラザ・スナヤン・アルカディア」2005年オープン
5)オフィスビル「セントラル・スナヤンⅡ(28階)」年オープン
http://www.kajima.co.jp/news/digest/aug_1996/tokusyuu/jakaruta.html
人口が減少する日本で、飽きもせず大型デパート、ショッピングセンターを作っていないで、インドネシアで500億円くらいぶち込んで勝負する方が、何ぼか勝算がありそうです。
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